2014 Fiscal Year Annual Research Report
土器付着の植物種子圧痕の分析による縄文・弥生時代における栽培及び農耕に関する研究
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13J10162
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
守屋 亮 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 弥生時代 / 考古学 / 栽培植物 / 種実圧痕 / レプリカ法 / 炭化種実 / 雑穀 / 稲作 |
Outline of Annual Research Achievements |
弥生時代の栽培植物利用の実態を明らかにするため、弥生時代後期を中心とした土器植物種実圧痕のレプリカ調査をおこなった。南武蔵地域の東京湾西岸に分布する在来系土器における穀物圧痕検出状況の地域差の有無や程度を比較検討することを目的として、東京都文京区向丘貝塚出土土器(東京大学総合研究博物館所蔵)の調査をおこなった。現在調査を継続中であり、結果はまだ判明していないが、この地域はこれまでに調査をおこなっていない地域であり、当該時期の南関東地方の栽培植物利用の実態を解明するための基礎資料となる。これらの調査で採取したレプリカについては、実体顕微鏡による検討と走査型電子顕微鏡(東京大学総合研究博物館)による写真撮影を実施しており、今後も継続する。 また、既刊の遺跡調査報告書に記載された炭化種実等の遺植物遺存体に関する検出状況の確認作業をおこない、後世の上層からの混入等のコンタミネーションが疑われる資料を選別し、当該遺跡出土土器の種実圧痕レプリカ調査によって様相の確認を行う必要のある遺跡を検討した。出土種実遺体と土器種実圧痕の検出状況は単純に比較することはできないものの、今後の比較検討材料としての精度を確保するため、広く調査をおこない比較検討に耐え得るデータを集積することを現在の目的としている。また、現状の種実圧痕検出状況と乖離した検出内容の炭化種実に関して、放射性炭素年代測定を実施して年代を確認する必要のある資料について、測定実施の可否について所蔵機関との協議を計画している。 ほかに、土器製作における施文具に関する研究をおこなった。当初の目的とは若干異なるが、北海道の縄文土器における文様のレプリカ調査を実施し、結果を調査報告書に記載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭化種実をはじめとする植物遺存体の検出状況確認等の基礎的データ整理を重点的におこなったため、種実圧痕レプリカ調査の進展度は平成25年度と比較すると低くなったが、これらのデータをもとに平成27年度に種実圧痕調査を実施する遺跡を的確に選定し、また放射性炭素年代測定の必要のある資料を選別することが可能となり、集中的に調査を継続する体制は整ったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、既存の基礎資料の精査をおこなったことにより、今後の集中的な種実圧痕レプリカ調査と年代測定を実施することによって、当初の目的である南関東を中心とした地域における栽培植物利用の実態を解明することが可能となった。これにしたがい、迅速に調査を実施したい。
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