2013 Fiscal Year Annual Research Report
(+)-リアノジンの不斉全合成および構造活性相関研究
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13J10235
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
枡田 健吾 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 全合成 / リアノジン / リアノドール / ピロールカルボン酸 / エステル化 |
Research Abstract |
(1)9-デメチル-10,15-ジデオキシリアノドールを用いた3位ヒドロキシ基エステル化のモデル検討を行った。9-デメチル-10,15-ジデオキシリアノドールの3位ヒドロキシ基はピロールカルボン酸とエステル縮合することができない一方、ピロールカルボン酸の合成等価体であるグリシン保護体とはエステル縮合が円滑に進行し、対応するグリシンエステルが高収率にて得られることを見出した。続くビナビジニウム塩を用いた変換によってピロール環を構築し、9-デメチル-10,15-ジデオキシリアノジンを合成した。 (2)(1)で得られた知見を活かし、市販品のリアノジンを加水分解して得たリアノドールからリアノジンへのリレー合成を試みた。エステル化に先立ち、リアノドールの3位を除く6個のヒドロキシ基を順次保護した。すなわち、2,4,6,12位の4個のヒドロキシ基を2対のフェニルボロン酸で、15位ヒドロキシ基をベンジル基で、10位ヒドロキシ基をアセチル基で保護した。保護した基質をグリシン保護体とエステル縮合した後、ピロールカルボン酸エステルへと変換した。最後に適切なヒドロキシ基の脱保護を行うことでリアノジンのリレー合成を達成した。 以上のように、これまで困難とされてきたリアノドールの3位へのピロールカルボン酸エステル導入法を確立した。これらの結果は、官能基が密集し、極めて複雑な構造を有するリアノドールのような化合物の反応性・位置選択性の制御を確実にしたことを示すものであり、特筆すべき成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで困難とされてきた3位へのピロールカルボン酸エステル導入法を確立した。これにより、リアノドールからリアノジンへの世界初の変換に成功した。一方、エステル化の検討に計画以上の期間を要した。そのため、年度内に完了する予定であった(+)-リアノジンの不斉全合成の達成に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度に得た知見と所属研究室で得られた知見を統合的に活かし、(+)-リアノジンの不斉全合成を達成する。さらにリアノジンの類縁天然物の網羅的合成へと展開する予定である。
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Research Products
(1 results)