2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管内皮細胞でのストア作動性Ca流入経路の分子実体と機能の一分子可視化解析
Project/Area Number |
13J10244
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鬼頭 宏彰 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 脳血管内皮細胞 / 細胞増殖 / 細胞周期 / ストア作動性Ca^<2+>流入 / Ora2 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳血管内皮細胞は血液脳関門を構成する主要な構成細胞であり、脳血管内皮細胞の正常な細胞増殖は血液脳関門の機能維持において需要な役割を果たすと考えられる。我々は脳血管内皮細胞の細胞増殖・細胞死制御において細胞内遊離Ca^<2+>濃度変化が重要な役割を担うことを明らかにしていることから、本検討では脳血管内皮細胞におけるストア作動性Ca^<2+>流入(SOCE)を介した細胞内Ca^<2+>動態について検討した。本年度の検討によりウシ脳血管内皮細胞株t-BBEC117において主に機能発現するOrai, STIMのサブタイプはOrai1及びSTIM1であり、CRACチャネルを構成し SOCE を担うことを明らかにした。細胞増殖に対する CRAC チャネルの寄与を詳細に検討するために、t-BBEC117に対して細胞周期同調培養を行った。その結果、他の細胞周期と比較してG2/M期の細胞群において有意にSOCE活性が低下することが明らかとなった。この細胞周期依存的なSOCE活性低下の原因を検討するために、細胞周期依存的なイオンチャネル発現変化を解析したところG2/M期においてOrai2の発現がmRNA及びタンパクレベルで有意に上昇していた。また、G2/M期におけるSOCE活性低下はsiRNAによるOrai2発現抑制により消失した。以上の結果より、G2/M期においてOrai2発現が増加しSOCEに対して抑制的に作用することが明らかとなった。細胞周期依存的なSOCE活性低下が細胞周期進行に及ぼす影響を検討するために、Orai2発現抑制細胞における細胞周期分布を解析した。その結果、対照群と比較して、発現抑制細胞においてG0/G1期の割合が有意に減少していることが明らかとなった。またMTT法によりOrai2発現抑制細胞における細胞増殖を検討したところ、対照群と比較して有意に細胞増殖が減少した。以上の結果より、Orai2は細胞周期依存的にSOCE活性を変化させ細胞周期進行を制御することで、正常な細胞増殖に寄与することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに脳血管内皮細胞株t-BBEC117におけるOrai1/STIM1の機能発現とそれらにより構成されるCa^<2+>シグナルの生理機能を明らかにすることができ、加えてOrai2の新たな生理機能を示唆する結果を得ることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
t-BBEC117において、主としてOrai1により構成されるSOCEに対してOrai2がどのような機構を介して抑制的に作用しているかを検討する必要がある。そこで、Orai1とOrai2がヘテロ他量体を形成しイオンチャネルを形成するという考えの下、Orai1及びOrai2蛍光標識体をt-BBEC117へ導入し全反射蛍光顕微鏡による一分子レベルでの可視化解析を行う。また、各細胞周期におけるOraiの寄与をより詳細に検討するためにセルソーターを使用することで細胞を回収し、Orai2発現抑制細胞における細胞周期移行の時間を解析することで、Orai2がどの細胞周期において機能を果たすかを検討する。
|
Research Products
(4 results)