2013 Fiscal Year Annual Research Report
海綿由来メタゲノムライブラリを用いた有用活性物質、生合成遺伝子の単離・探索
Project/Area Number |
13J10253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹重 勇哉 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メタゲノム / スクリーニング |
Research Abstract |
本研究では海洋動物である海綿中に生息する微生物、とりわけ培養困難な微生物を標的として研究を開始した。これまでに、海綿からは様々な薬理活性、複雑な構造を有する天然物が単離されているが、その多くは共生微生物が生産を担っているという報告がなされている。しかし、海綿共生微生物のほとんどが難培養性と予想される事から、通常の培養に依存した手法ではそれら微生物を有効利用できていない。そこで我々のグループでは、海綿中に存在する微生物を遺伝子資源として利用する事を目指した。 今回、海綿Discodermia calyxを用いてメタゲノムライブラリを構築し、Bacillus cereusに対する抗菌活性を指標とするスクリーニングを行った。その結果、構築したフォスミドライブラリより抗菌活性を示すクローン1種を見出した。更に、抗菌活性を示す活性化合物本体を同定するため、液体培養にてクローンを大量培養後、各種カラムにて抗菌活性を指標として分離を行い、2,2-di (3-indoly1)-3-indoloneの単離に成功した。得られたクローンに対して、次世代シークエンサーによる挿入遺伝子の配列解析及び相同性検索を行った所、全長は約40kbpに及び、且つ31個の推定ORFを含む事が明らかとなった。更に、抗菌化合物の生産とフォスミド中のORFとの関係を解明するため、サブクローニングを行った所、プリン体生合成に関与するIMPD (inosne-5'-monophosphate-dehydrogenase)ホモログが本化合物の生産に必要である事が明らかとなった。 大腸菌中でのメタゲノム遺伝子の発現を基にしたクローンのスクリーニング手法は、その評価系の少なさ、あるいは遺伝子発現の制限等の観点から、未開拓な研究分野である。今回得られた化合物自体は既知化合物であったが、大腸菌の代謝系にメタゲノム由来の外来遺伝子を導入する事によって新たな化合物生産系が生じることは興味深い知見である。今後、更なる評価系の構築、別種海綿を用いたライブラリの作製により、新規化合物・新規生合成酵素の獲得が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先述した通り、海綿を用いてライブラリを作製し、抗菌活性を指標としてスクリーニングを行う事で抗菌化合物の単離に成功した。また、抗菌化合物の生産には、大腸菌代謝系に特定の遺伝子を組み込む事が必要である事を解明したが、その詳細なメカニズム、即ち化合物生産に必要な反応基質や反応機構までは明らかに出来ておらず、今後in vitroでの実験、あるいは基質投与によるin vivoでの実験により、更に厳密な化合物生産系の解明が必要になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
単離された抗菌化合物の反応基質同定に関しては、より多様な基質を用いたin vitro反応の調査や、挿入遺伝子の配列情報の精査により、更なる知見を得る事を目的とする。また現在、1種のスクリーニング系、及び1種のメタゲノムライブラリを用いて研究展開を行っている。今後、抗菌活性以外のスクリーニング系の適用、あるいは別種の海綿や海洋生物資源を用いたメタゲノムライブラリの構築により、多様な化合物あるいは新規の生合成酵素の取得を目指す。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Indole-porphyrin hybrids produced by metagenomics2013
Author(s)
Yang, X. -L., Wakimoto, T., Takeshige, Y., He, R., Egami, Y., Abe, I.
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Journal Title
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
Volume: 23
Pages: 2810-2813
DOI
Peer Reviewed