2014 Fiscal Year Annual Research Report
海綿由来メタゲノムライブラリを用いた有用活性物質、生合成遺伝子の単離・探索
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13J10253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹重 勇哉 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタゲノム / 難培養性微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では海洋動物である海綿中に生息する培養困難な微生物を標的として研究を開始した。これまでに、海綿からは様々な天然化合物が単離されているが、その多くは共生微生物が生産を担っているという報告がなされている。しかし、海綿共生微生物のほとんどが難培養性と報告されており、通常の培養に依存した手法ではそれら微生物を有効利用できていない。そこで我々のグループでは、海綿中に存在する微生物を遺伝子資源として利用する事を目指した。 海綿Discodermia calyxを用いてメタゲノムライブラリを構築し、Bacillus cereusに対する抗菌活性を指標とするスクリーニングを行った。その結果、構築したフォスミドライブラリより抗菌活性を示すクローン1種を見出し、実際にその活性陽性クローンがインドール系抗菌活性化合物を生産する事を見出した。 また、得られたクローンに対して、次世代シークエンサーによる挿入遺伝子の配列解析を行った所、全長は約40kbpに及び、且つ31個の推定ORFを含む事が明らかとなった。更に、抗菌化合物の生産とフォスミド中のORFとの関係を解明するため、サブクローニングを行った所、IMPD (inosne-5’-monophosphate-dehydrogenase)ホモログが本化合物の生産に必要である事が明らかとなった。 メタゲノム遺伝子の発現を基にしたスクリーニング手法は、その評価系の少なさ、あるいは遺伝子発現の制限等の観点から、未開拓な研究分野である。更なる活性評価系の構築、別種海綿を用いたライブラリの作製により、新規化合物・新規生合成酵素の獲得が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度得られた結果に基づき、化合物生産に関与するIMPDホモログの詳細な機能解析を試みた。大腸菌やメタノール資化性酵母等を用いたin vitro反応にて種々実験を試みたが、現時点では化合物生産に必要な基質の同定には至っていない。しかしながら、大腸菌由来IMDPホモログをin vivoにて過剰発現させた際には本化合物の生産が確認されなかった事から、今回得られた酵素はIMPDと同様な酵素反応を持つ事による間接的な働きではなく、直接的に化合物生産に関与する事が示唆された。本年度はこれらの得られた結果を纏めて国際学術誌に投稿しており、一定の成果を挙げたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はメタゲノムライブラリを用いた宿主中での発現を基にしたスクリーニング系に関して、どの程度の範囲まで適応する事ができるか、検討して行く予定である。具体的には新たなライブラリの構築、あるいは抗菌活性試験以外のスクリーニング系を適応し、ライブラリより探索を行う予定である。
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Research Products
(3 results)