2014 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌tRNAにおけるwobble位ウリジンのヒドロキシル化修飾生合成機構の解明
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13J10357
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 雄介 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | RNA修飾 / tRNA / wobble位 / 翻訳 / 大腸菌 / uridine-5-oxyacetic acid / 生化学 / 質量分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
転移RNA(tRNA)は遺伝子発現において重要な、翻訳のアダプター分子である。tRNAはtRNA修飾酵素によって、様々な化学修飾を施され、機能を微調整されている。大腸菌tRNAの34位(wobble位)に見られる修飾塩基5-カルボキシメトキシウリジン(cmo5U)及びそのメチルエステル(mcmo5U)はコドン拡張の機能を持ち、翻訳に影響を与える修飾塩基である。cmo5U/mcmo5Uは複数の遺伝子が関わる多段階反応によって生合成される事がわかっているが、反応機構には未解明な点が多い。本研究の目的はcmo5U/mcmo5U生合成の初段階であるウリジンの5位のヒドロキシル化の生合成機構を明らかにすることである。 初年度は修飾を担う遺伝子の探索を行い、最初のヒドロキシル化に関わる2つの遺伝子を明らかにした。また、最後のメチル化に関わる遺伝子を同定し、試験管内修飾再構成に成功していた。二年目である2014年度は、初年度に2つの遺伝子を明らかにしたU→ho5Uのヒドロキシル化について、修飾に必要な基質の同定や、それらによる修飾再構成などの生化学的解析が課題であった。また、初年度に明らかにしたcmo5U→mcmo5Uのメチル化について、研究内容をまとめ、対外発表する予定であった。その結果、 1 ウリジンのヒドロキシル化について、基質を同定する事に成功した。但し、修飾再構成には至っていない。 2 cmo5Uのメチル化について、国際学会で発表を行った。また専門誌に発表する準備中である。 3 cmo5Uを欠損した株において、特定の条件下で生育が悪化する事を発見した。 ヒドロキシル化の試験管内再構成のみ成功していないものの、1960年代から研究されていたcmo5U/mcmo5U生合成の全容をほぼ明らかにできた。今後、1について追加研究を行った上で、専門誌や学会で体外発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の当初の計画では、今年度はヒドロキシル化の因子探索を終える事が目標であった。また、昨年度の研究経過から、メチル化修飾の対外発表も目標であった。 計画通り、ヒドロキシル化部分については、ho5U生合成に必要とする基質の特定に成功し、メチル化の部分についての国際学会で対外発表も行う事ができた。専門誌への発表準備も最終段階である。 更に、cmo5U欠損株に特殊な負荷をかける事で、生育が悪化する事を見出し、ヒドロキシル化修飾の意義を考える手がかりを得た。 以上の事から、当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初研究の目標としていたヒドロキシル化については、計画時の予定通り、ほぼ全ての因子がそろい、試験管内修飾再構成によって修飾に必要十分な条件を同定するのみとなっている。2015年度はこれを成功させる事を目標とする。 また、この修飾の機能について、特定生育条件下で生育速度が低下する事を見出しており、その原因を明らかにする事によって、本修飾の意義を解明する事を目指す。 更に、最終年度である今年は、これらの内容を専門誌に論文として発表する事を目標とする。 加えて、メチル化修飾部分について、現在最終段階にある論文発表を達成する。
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Research Products
(1 results)