2015 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動が植物の形態的生理的変化を介して病害虫抵抗性に及ぼす影響の解明
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13J10391
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
板垣 芳 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Podosphaera xanthii / 湿度 / 光質 / 発芽 / 感染 / 菌糸伸長 / 吸器形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動に伴う物理環境の変化は植物の形態的生理的特性に影響し,その特性が病虫害抵抗性に影響を及ぼす可能性がある.平成27年度は,異なる光質あるいは湿度環境に順化したキュウリ実生におけるうどんこ病菌の発達の定量的評価を行い,植物を応答を介した環境要因の間接的な影響のメカニズムを検討した. 本研究では照射光の遠赤色光(FR)に対する赤色光(R)の比(R:FR比)に注目した.自然光よりも高いR:FR比(> 1.2)に順化したキュウリ実生においてキュウリうどんこ病菌(Podosphaera xanthii)の病斑形成が抑制されるメカニズムを,菌糸発達を評価することで検討した.分生子のキュウリ実生への感染過程はR:FR比への順化の影響を受けなかった.高R:FR比順化葉では,病原菌の葉内への侵入後の菌糸発達および吸器形成が抑制されることが明らかとなった.菌糸発達や吸器形成は宿主葉の化学的な防御応答などに影響されることから,高R:FR比への順化による宿主葉の非構造的特性が病原菌の発達に影響した可能性が考えられた.同様の評価を異なる湿度環境に順化したキュウリ実生においても行った.高飽差(= 3.8 kPa)順化葉では,低飽差(= 0.4 kPa)順化葉よりも病原菌の感染過程が低飽差順化葉よりも抑制されていた.分生子の感染過程は葉の硬さはクチクラ層の厚さなど葉の構造的特性に影響されることから,高飽差順化による葉の構造的特性が病原菌の発達に影響した可能性が考えられた.さらに,高飽差順化葉では,病原菌の葉内への侵入後の菌糸発達および吸器形成が抑制されることが明らかとなり,高飽差への順化による宿主葉の非構造的特性も病原菌の発達に影響した可能性が考えられた. 病原菌の菌糸発達の観察から植物と植物病原体との関係を評価できたことは,気候変動の影響を評価する上で新しい切り口となることが期待できる.
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)