2013 Fiscal Year Annual Research Report
動的な生命現象の可視化を可能とする可逆的な蛍光プローブの分子設計法の開発
Project/Area Number |
13J10424
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
串田 優 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 蛍光プローブ / 二量化反応 / 精密有機合成 |
Research Abstract |
本年度は可逆的な蛍光プローブの母核となる蛍光色素「Siローダミン」の自由度の高い分子設計を可能とする合成法の開発を行った。本研究の目的である可逆的な蛍光プローブの開発を行うためには、Siローダミン蛍光色素のキサンテン環部位の修飾によりLUMOエネルギーレベルを精密に制御することが重要である。しかし、既存の合成法で合成可能なSiローダミン類はキサンテン環部位が左右対称構造を持つものに限られており、電子供与基や電子求引基を導入する際、必然的に左右2個所ずつ導入されるため、LUMOエネルギーレベルの精密な制御は難しかった。そこで上記問題を解決するため、左右非対称なキサンテン環を持つSiローダミン蛍光色素の合成法の開発を試みた。具体的には左右対称なSiローダミンの合成法に着目した。対称なSiローダミンはアニリンのホモニ量化反応を用いてキサンテン骨格の大部分を構築することで合成される。そこで、異なる二種類のアニリンを用いてヘテロ二量化反応を行うことで、左右非対称構造を持つSiローダミンの合成が可能となると考えた。 ホモニ量化反応の活性中間体の前駆体であるヒドロキシメチルアニリンを合成し、ヒドロキシメチル基を持たないアニリンと反応させることで、一方のアニリンのみから活性な中間体が生成し、そこにもう一方のアニリンが求核攻撃することでヘテロダイマーが得られると考えた、種々の反応条件の検討の結果、ジクロロメタン中でルイス酸であるBF_3OEt_2を添加することで、効率よく期待した反応が進行することを見出した。また、本反応を電子供与性の異なる様々なアルキル置換基を持つ12種類のアニリンに適応したところ、収率69%以上の高収率でヘテロダイマーの合成が可能であった。さらに、ヘテロダイマーを経由し、様々な官能基を持つ非対称Siローダミンの合成にも達成した。以上のように、蛍光プローブ母核の開発に有用なアニリンのヘテロ二量化反応の開発に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
蛍光プローブ母核の様々な置換位置に官能基を導入可能とする反応の開発に成功したため。これにより既存の合成法では成し得なかった分子設計が容易に行えるようになり、目的の蛍光プローブ開発が効率よく進展すると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
目的の可逆的な蛍光プローブ開発に向けて、様々な電子供与性、求引性置換基を有する非対称Siローダミンを合成する。それらの物理化学的性質を精査した後、適切な性質を持つ化合物を蛍光プローブ母核として可逆的な蛍光プローブのプロトタイプを開発する。
|
Research Products
(8 results)