2013 Fiscal Year Annual Research Report
堆積物中化石DNAによる古海洋物質循環システムの変遷解明
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13J10453
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 保彦 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 海洋堆積物 / 化石DNA / 海洋炭素循環 / バイオマーカー / アミノ酸 / 窒素同位体組成 / 海洋窒素循環 |
Research Abstract |
1. 2013年6月16日~12月24日および2014年1月14日~3月31日の日程で、米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校に滞在し、沿岸域(米国カリフォルニア沖のサンタバーバラ海盆やモントレー湾など)および遠洋域(北太平洋ハワイ沖、メキシコ湾など)で採取された、セディメントトラップや表層堆積物、懸濁態有機物、溶存態有機物など、様々なタイプの海洋試料を、DNAおよび有機物分析用に入手した。 2. 海洋堆積物試料の保存条件が化石DNA分析結果に与える影響を調べるために、凍結乾燥されたサンタバーバラ海盆のセディメントトラップや表層堆積物について、予察的な化石DNA分析を行った。 3. 海洋試料中の有機分子の変質の度合いを評価するために、立体異性体レベルアミノ酸窒素同位体組成などの有機地球化学的指標について、分析法の開発・改良を行った。北太平洋ハワイ沖およびメキシコ湾の海洋溶存態有機物試料にその手法を初めて適用し、溶存態有機物中アミノ酸の起源の大部分がバクテリア由来であることを示唆する結果を得た。海洋堆積物試料にも適用可能な手法であり、化石DNAの分析結果とも、今後比較可能になる。 4. 海洋表層から深海へと運ばれる有機物(エクスポート生産)について、どの生物グループが主に起源として寄与しているかを定量的に推定する手段として、懸濁態有機物から特定の生物グループの細胞だけを分離して同位体組成を分析する手法の開発・改良を進めた。エクスポート生産への各生物グループの寄与の定量的評価は、堆積物中化石DNAデータから過去の海洋生態系を復元する上でも重要な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化石DNA分析および有機地球化学的分析を行うための海洋試料を順調に入手でき、分析手法の開発・改良もおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋中での有機物の動態に季節変動が与える影響を評価するために、北太平洋ハワイ沖など特定の海域について、さらに海洋試料を入手する。同時に、海洋試料の化石DNA分析および有機地球化学的分析をさらにすすめる。試料の特性に応じて、さらなる分析手法の開発・改良を行う。
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Research Products
(4 results)