2013 Fiscal Year Annual Research Report
直接測定と間接測定を利用した標準模型を超える物理の探求
Project/Area Number |
13J10486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉永 尊洸 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 素粒子物理学 / ミユー粒子の異常磁気モーメント / 超対称性理論 |
Research Abstract |
申請者は、ミュー粒子の異常磁気モーメント(Muon g-2)の実験値を説明する超対称模型の検証可能性に関する研究を行った。本研究では、超対称性理論の模型に依らない系統的な探求法を理解することが目的である。Muon g-2を説明する超対称模型の寄与は、典型的に2つある。それらを、1.チャージーノが寄与する場合、2.ニュートラリーノが寄与する場合、と呼ぶ。申請者はそれら特徴的な場合に焦点をあてて系統的な探求法の議論を行った。1.の場合、多く(特に3つ)のレプトンが終状態にあるシグナルが有効であること、および現在のLHC実験のデータですでに一部の超対称模型の質量領域が排除されていることを示した。さらに、LHC実験が14TeVにアップグレードされた場合の議論も行い、主要な超対称模型の質量領域がほとんど探索可能であることも分かった。この結果、Muon g-2を尊重した上でのLHC現象論の有効性が認知されることになった。2.の場合、スカラーポテンシャルの安定性に着目し、その条件から新粒子の質量領域に強い制限を課すことができることを示した。よって、Muon g-2の実験値を説明する寄与が超対称粒子であるならば、LHC、ILC実験で新粒子を発見できることが期待される。また、新粒子の質量が重い場合が、レプトンフレーバーやCPの破れの実験による高感度の探索が期待されることも示しており、新粒子の質量に応じて相補的な探索が可能であることも示した。さらに、そのような新粒子が軽い質量領域に存在する場合、ヒッグス粒子の崩壊率が標準模型の予言値から変化する可能性がある。特に、ILC実験の初期までの知識を用いた系統的な探索法も申請者は議論し、加速器実験の新粒子探索能力を詳細に理解した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
間接測定により制限される超対称標準模型のパラメータ領域の特定が迅速に行えた。また、真空の準安定性という観点が系統的な探索法の確立に有用に働いた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、LHC実験における将来の感度を議論する。14TeV LHC で有望なシグナルに対して数値シミュレーションを行い、どの質量領域の新粒子がどの段階で発見・排除可能かを評価する。
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Research Products
(7 results)