2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規ミエリンミュータントで同定した原因遺伝子のミエリン形成・維持における役割解明
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13J10569
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田中 美有 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミエリン / オリゴデンドロサイト / ミエリン低形成 / 空胞形成 / 細胞内輸送 / 動物モデル / 病態解析 |
Research Abstract |
1. 遺伝子X・タンパクXの発現細胞・細胞内局在の同定 : 抗タンパクX抗体と細胞小器官マーカーとの二重染色、抗タンパクX抗体を用いた免疫電子顕微鏡法により、タンパクXがゴルジ装置などの細胞内輸送に関わる細胞内小器官に局在していることを明らかにした。また、RT-PCR法や抗タンパクX抗体に対する免疫染色の結果、遺伝子X・タンパクXは、中枢神経系以外にも、副腎髄質、膵臓の膵島、下垂体、精巣においても発現していることが示されたが、詳細な発現動態については今後検討予定である。 2. オリゴデンドロサイトの機能評価 : ミエリン構成タンパクに対する抗体を用いた免疫染色・免疫電子顕微鏡法により、ホモ型ラットのオリゴデンドロサイトでは、MAG (myelin associated glycoprotein)やPLP (proteolipid protein)が、異常拡張したゴルジ装置に蓄積し、ミエリンには殆ど発現していないことが明らかとなった。各種ミエリン構成タンパクの発現動態をReal-time PCR・ウエスタンブロッティングにより解析したところ、ホモ型ラットの脊髄白質では、ミエリン形成期におけるミエリン構成タンパク発現の低下が認められた。 これらの結果より、VFラットでは、オリゴデンドロサイトの分化・成熟、細胞内輸送に異常が生じていること、遺伝子X・タンパクXが中枢神経系のミエリン形成・維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VFラットの原因遺伝子の細胞内局在を同定し、現在、VFラットの原因遺伝子に関する論文を投稿中である。また、VFラットのオリゴデンドロサイトの機能評価も行うことで、VFラットのミエリン異常のメカニズムの一端を明らかにすることができた。したがって、当初研究計画どおりに概ね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、オリゴデンドロサイトの分化・成熟に関わる転写因子の動態、ミエリンと軸索との相互作用に着目した解析を進めることで、VFラットで認められるミエリン異常の病理発生の解明、中枢神経のミエリン形成・維持に関わる新たなメカニズムの解明を目指す。
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