2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J10592
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
藤本 岳人 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物寄生性線虫 / スクラレオール / リグニン |
Research Abstract |
研究代表者は植物寄生性線虫の抵抗性に関与する植物遺伝子の選抜と植物由来物質の抽出を行うことを目的としている。平成25年度は既存の病害抵抗性誘導物質に含まれていない、植物体内で産生されるテルペン化合物の1種、スクラレオールを候補物質の1種として単離することに成功した。スクラレオールはもともとある特定の菌種に対する抗菌活性を持つことが知られている物質であるが、スクラレオールを外部施与した植物において、植物寄生性線虫の侵入数が有意に低下することを明らかとした。スクラレオール処理をした植物の根における反応を遺伝子発現から解析すると、根の木化を誘導する物質であるリグニンの生合成に関与する遺伝子経路の発現がみられた。事実、スクラレオールを処理した植物の根内部ではリグニンの蓄積が観察された。リグニンの蓄積が起きないシロイヌナズナ変異体を用いて検証したところ、スクラレオール処理によるリグニン蓄積は観察されず、線虫の侵入も抑制されることはなかった。以上の結果から、線虫抵抗性誘導物質候補の1種であるスクラレオールは、植物に処理すると、根の硬化を誘導し、線虫の侵入を妨げることが示唆された。 また、スクラレオールを処理した植物の根より物質抽出を行ったところ、特異的に放出量が変化している物質を数種類単離することに成功した、これらの物質をそれぞれ植物に処理したところ、線虫の侵入数が有意に低下する物質の存在が明らかとなった。平成26年度以降はそのメカニズムについて解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・線虫抵抗性を誘導する物質(スクラレオール)の単離に成功したこと ・スクラレオール処理による植物体内での線虫抵抗性誘導メカニズムの解明に成功したこと ・スクラレオール処理によって植物体内で放出量の変化する物質を複数単離することに成功するとともに、そのなかに線虫抵抗性誘導物質が含まれていることを明らかにしたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の結果より、スクラレオールを処理した植物の根において、特異的に放出量が変化している複数種類の物質を単離することに成功した、これらの物質の中には線虫の侵入数を有意に低下させる物質が含まれていた。平成26年度以降は植物に処理した時に線虫抵抗性が付与される物質の植物体内における反応メカニズムについて解析を進める予定である。
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Research Products
(4 results)