2013 Fiscal Year Annual Research Report
原子間力顕微鏡を用いたイオンチャネルの集団構造‐電流の同時計測
Project/Area Number |
13J10668
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
角野 歩 福井大学, 医学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | イオンチャネル / 原子間力顕微鏡 / 集合離散 |
Research Abstract |
本研究課題の最終目標は、カリウムチャネルKcsAの膜中集合離散状態がチャネル機能に及ぼす影響の解明である。KcsAは酸性条件下でゲートを開いてイオンを透過させる、pH依存性カリウムチャネルである。これまでの原子間力顕微鏡(AFM)を用いた研究により、KcsAの膜中開閉構造を明らかにし、さらに中性条件下では集合し、ゲートが開く酸性条件下では離散するというKcsAの集合離散挙動を発見した。さらに、酸性条件下でも一部のKcsAは集合し、開ゲートが観察されない中間状態にあることがわかった。つまり、ゲート開閉と集合離散が連動して起こることを示唆した。今年度はpH依存的集合離散ダイナミクスに焦点をあてた下記の研究を行った。 福岡大学理学部の山本大輔准教授との共同研究により、pH変化時のゲート開閉と集合離散ダイナミクスを高速AFMにより直接観察した。KcsAはゲートを開く際に全長値が1.5nm短縮するため、ゲート開閉の状態変化を全長値の変化として確認することができる。観察溶液のpHを酸性から中性へと変化させた時、全長値を延長させながらKcsAの集合体が成長していく様子が観察された。また逆に中性から酸性へとpH変化させた時は、数分子集合したKcsAが全長値を短縮させながら孤立した分子へと離散していく様子が観察された。両者の変化は可逆的であり、どちらの集合離散状態の変化も数分以内に起こった。以上より、KcsAのpH依存的ゲート開閉と連動した集合離散ダイナミクスを明らかにした。このようなダイナミックな集合離散とリンクした機能発現機構は、チャネル以外の膜タンパク質にも存在している可能性があり、膜タンパク質動作機構解明においての集合離散現象の重要性を示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(4 results)
-
-
[Journal Article] Creation of cross-linked bilayer membranes that can incorporate membrane proteins from oligo-asp-based Peptide gemini surfactants.2013
Author(s)
Koeda, S. ; Umezaki, K. ; Sumino, A. ; Noji, T. ; Ikeda, A. ; Yamamoto, Y. ; Dewa, T. ; Taga, K. ; Nango, M. ; Tanaka, T. ; Mizuno, T.
-
Journal Title
Langmuir
Volume: 29
Pages: 11695-11704
DOI
Peer Reviewed
-
-