2015 Fiscal Year Annual Research Report
内殻分極を考慮したモデルポテンシャル法の開発による水素吸蔵分子材料の理論設計
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13J10731
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
松田 彩 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水素吸蔵 / Pd ナノ粒子 / 結晶面依存性 / 相対性理論 / 自己拡散係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題においては、水素吸蔵特性を示す金属ナノクラスターと水素原子の相互作用解析を量子化学計算によっておこない、水素吸蔵材料の設計指針を理論的な観点から得ることを目的としている。実験から,Pd ナノ粒子の水素吸蔵速度は {111} 面に比して {100} 面の方が速いという結晶面依存性があることが報告されている.そこで、本年度は相対論的量子化学計算および反応性力場を用いた分子動力学(MD)計算を用い、水素吸蔵速度の結晶面依存性に関して解析をおこなった。 水素吸蔵過程を (1) 水素原子のナノ粒子表面からナノ粒子のサブサーフェイス領域への侵入過程 (2) サブサーフェイス領域からナノ粒子での拡散過程 の2つに分け解析した。 (1) の過程検討より、Pd ナノ粒子における水素原子の吸蔵速度の結晶面依存性は、{111} 結晶面から水素原子がナノクラスター内部へ侵入する際のエネルギーバリアが 0.28 eV (6.46kcal mol-1) 低いことに由来することが分かった。また、ナノ粒子内部での水素挙動においても、{111} 面を露出させた八面体ナノ粒子のほうが、水素原子拡散係数は大きくより速く動くことができることも分子動力学計算によって明らかにされた。本研究結果は、Chem. Phys. Lett. 誌に掲載されると共に、ナノ学会若手優秀ポスター賞の受賞,および SCM 社の量子化学計算プログラムパッケージ ADF の Highlight 欄(https://www.scm.com/category/highlights/)で紹介されるという形で外部から高く評価されている。本研究より水素吸蔵特性を調整する上で、金属種の組み合わせ・構造の制御だけではなく形状制御も重要であることが理論的に示された。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)