2014 Fiscal Year Annual Research Report
犬の肥満細胞腫におけるイマチニブ耐性化の分子病態の解明と耐性克服戦略の構築
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13J10765
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小林 正人 日本獣医生命科学大学, 獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肥満細胞腫 / 耐性 / イマチニブ / ユビキチン / 犬 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、犬の肥満細胞腫におけるイマチニブ耐性化にはKIT遺伝子の二次変異が重要であることを報告した。一方、二次変異に依存しないイマチニブ耐性機構の存在も示唆されてきたが、そのメカニズムについては不明であった。そこで今回、犬の肥満細胞腫におけるKIT遺伝子の二次変異非依存性のイマチニブ耐性機構の解明を目的とした。 KIT遺伝子のエクソン11に変異を有するイマチニブ感受性の犬の肥満細胞腫細胞株CoMSにイマチニブを段階的に暴露することでイマチニブ耐性株rCoMS1を作製した。rCoMS1を用いてイマチニブ耐性にかかわる分子機構を解析した結果、KIT遺伝子の二次変異は認められなかった。しかしながら、rCoMS1ではKITが過剰に発現しており、この過剰発現したKITのリン酸化はイマチニブでは完全には抑制できないことが明らかになった。このことから、rCoMS1においてKITの過剰発現がイマチニブ耐性化に重要な役割を果たしていると考えられた。さらに、この過剰発現のメカニズムを検討したところ、rCoMS1ではKITのユビキチン化が減少していることが明らかになった。ユビキチン化蛋白はリソソームやプロテアソームで認識され分解される。そのため、ユビキチンは蛋白分解を制御する重要な蛋白と考えられている。したがって、rCoMS1におけるKITの過剰発現はKITユビキチン化の減少によりKITの分解が抑制された結果と考えられた。今後は、KITユビキチン化を制御する分子機構を明らかにし、イマチニブ耐性の克服法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は二次変異に依存しない全く新しいイマチニブ耐性機構を発見できた。また、研究成果として国際学会への口頭発表を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
KITユビキチン化を制御する分子機構を検索するとともに、解明したイマチニブ耐性機構に対する耐性克服法を検討する。
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Research Products
(3 results)