2014 Fiscal Year Annual Research Report
ALSにおける変異型SOD1に共通の構造変化に着目した新規治療薬の基盤開発
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13J10826
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 奈美子 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ALS / SOD1 / Derlin-1 / アデノ随伴ウイルス / 単鎖型抗体 / 亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は,ALS病因としてのSOD1ーDerlin-1結合阻害物質を運動神経に特異的に発現させるための系の確立,およびその系を用いたモデルマウスの病態改善を目指して研究を遂行した.昨年度までに,アデノ随伴ウイルス(AAV: adeno-associated virus)ベクターを用いてALSモデルマウス(家族性ALS関連変異型SOD1のトランスジェニックマウス)脊髄の運動神経にCT4ペプチド(Derlin-1のC末端12アミノ酸,SOD1との結合領域)を発現させる系を構築したため,本年度はこの系を用いて病態改善効果の検討を進めた. 病態改善効果の評価法として,ALSモデルマウスを用いた条件検討および文献調査の結果,「体重」「運動機能(ロータロッドテスト)」「寿命」の3つを選択した.体重と運動機能からALS発症時期の評価を,また,発症時期と寿命からALS継続期間の評価をそれぞれ行うこととした. ALS発症時期については,CT4ペプチド発現マウスで有意な遅延が見られなかった.しかしながら,運動神経以外にも脊髄のアストロサイトやグリア細胞がALS発症を制御するとの報告があるため,今後はこれらの細胞にCT4ペプチドを発現させる系を構築し,同様の検討を行う予定である. ALS継続期間については,ALSモデルマウスの平均寿命が38週齢であることから,本年度中に十分な個体数の解析が終了しなかったため,来年度も継続して解析を行い,評価する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の年次計画では,1-2年目にまたがって行う予定であったAAV投与系によるCT4の脊髄特異的な発現システムを1年目の年度内に確立することが出来たため,2年目の上半期にALS病態改善効果の一貫としてのALS発症時期に関する評価を終了した.結果として,CT4ペプチド発現マウスで有意な発症時期の遅延が見られなかったことから,下半期には運動神経以外にもALS発症に関与するとの報告がある脊髄のアストロサイトやグリア細胞で同様の検討を行う計画を立て,これらの細胞にCT4ペプチドを発現させる系の構築を進めた. また,その他の年次計画2年目の研究項目についても,現時点で必要と考えられる検討は終了している点で,当初の計画以上に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
ALS病態改善効果の一貫としてのALS発症時期に関する評価を早い段階で終了できたため,その結果に基づき,運動神経以外にもALS発症に関与するとの報告がある脊髄のアストロサイトやグリア細胞で同様の検討を行う予定である.この研究項目を追加することで,ALSに見られる運動神経細胞死とその他評価可能な病態に,我々が明らかにしたSOD1ーDerlin-1結合が細胞自律的経路,もしくは非細胞自律的経路のいずれを介して関与するのかを個体レベルで明らかにすることができると考えている.
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Research Products
(3 results)