2014 Fiscal Year Annual Research Report
標的RNA解析を通じた、がんにおけるRNA結合タンパク質IMPsの機能解析
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13J10939
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 玲菜 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | RNA結合タンパク質 / IMP3/IGF2BP3 / RNA分解 / 翻訳制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
IMPsはIGF2 mRNAの結合タンパク質として同定されたがん胎児性のタンパク質であり、異なる3つの遺伝にコードされるIMP1~3の3つのアイソタイプが知られている。様々ながんで高発現しており、特にIMP3の発現とがん患者の予後には相関関係があるという報告もある。がん細胞におけるIMPsの機能を理解する上で制御の標的となるRNAを知ることは非常に重要であるが、解析した例はなくそのためにIMPsのがんにおける機能はほとんど分かっていない。そこで私はゲノムワイドなIMPsの標的RNAの解析を通じてがんにおけるIMPsの機能を理解することを目的とした。 昨年度までに私は、IMPs標的mRNA群を同定しIMP3に着目して更なる解析を行い、EIF4EBP2(4EBP2) mRNAの分解促進に関与していることと、4EBP2の発現抑制を介して細胞増殖を制御していることを見出していた。 4EBP2はEIF4Eに結合し、翻訳を抑制する遺伝子である。私はIMP3が4EBP2を発現抑制することで、EIF4Eを活性化し、翻訳を亢進させ細胞増殖を制御しているのではないかという仮説を立てた。IMP3単独ノックダウンで抑制されたEIF4Eの活性が、IMP3と4EBP2のダブルノックダウンにより回復した。IMP3ノックダウン細胞ではEIF4E制御下にあるmRNAの翻訳効率が低下していた。これらの結果は仮説をサポートするものと考えられる。 本年度までの研究により、IMP3が4EBP2 mRNAの分解をし、発現抑制を行うことでEIF4Eを活性化し翻訳を制御しているということを見出した。EIF4Eはがんとの関連が報告されている遺伝子であり、RNA結合タンパク質IMP3の標的に着目して解析することで、今までに知られていなかった2種のがん遺伝子を関連付けることができた点が本年度までの研究の成果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さらなる検証実験は必要であるが、本研究の目的である「がん細胞におけるIMPsの生理機能の理解」という点において新たな知見を得られており、その成果を国際学会で報告することが出来ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究で示唆された「IMP3がEIF4EBP2を介してEIF4Eの活性を制御し、翻訳効率を制御しているという点について更なる検証実験をおこなう。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Analysis of RNA decay factor mediated RNA stability contributions on RNA abundance2015
Author(s)
Sho Maekawa, Naoto Imamachi, Takuma Irie, Hidenori Tani, Kyoko Matsumoto, Rena Mizutani, Katsutoshi Imamura, Miho Kakeda, Tetsushi Yada, Sumio Sugano, Yutaka Suzuki and Nobuyoshi Akimitsu.
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Journal Title
BMC Genomics
Volume: 16
Pages: 154
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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