2013 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ粒子・金クラスターを用いた高効率プラズモン誘起太陽電池の開発
Project/Area Number |
13J11083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 拓也 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 金クラスター / 局在表面プラズモン共鳴 / ベンゼンチオール誘導体 / 振動分光 / エネルギーまたは電子移動 |
Research Abstract |
今年度は、プラズモン誘起太陽電池の要素となる機能性金ナノ粒子の合成・解析に重点をおいて研究を進めた。9,10-ジヒドロキシオクタデカン酸とp-アミノベンゼンチオールをアミド結合させた、還元性安定化剤としてのベンゼンチオール誘導体(BDI)を用いて、一段階で金ナノ粒子(AuNP)を合成し、反応条件を変えることで粒径の制御の検討を行った。加えて、BD1の2つのヒドロキシル基をスルフリル基に変えたBD2や、BD1のヒドロキシ基を足場にし、ピレン誘導体を結合させたBD3を用いて、機能性分子修飾AuNPや金クラスター(AuC)の合成を行った。 (1) BD1保護AuNPとBD2保護AuNPの一段階合成と粒径制御 局在表面プラズモン共鳴(LSPR)による、より大きな増強電場や光散乱効果を得るためにはより大きなAuNPが必要であるため、反応条件の検討を行った。その結果、濃度や温度、撹搾速度を制御することで粒径制御が可能であることがわかった。さらに、アルキル鎖の詳細なコンホメーションや配向を調査する目的でオクタデカンチオール(ODT)保護AuNPの振動分光法を用いて分析を行った結果、より詳細な表面吸着状態を調べることに成功した。 (2) BD3保護AuCとBD3保護AuNP BD3保護AuCの一段階合成に成功し、またピレンからAuCへとエネルギーまたは電子移動を示唆する結果が得られた。BD3保護AuNPにおいては、Stern-Volmerプロットから消光剤による消光速度定数を求めた。AuNP不在下と比較すると、わずかに消光速度定数が増加した。この現象の詳細はまだわかっておらず、今後検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想通りの方法で粒径の制御や、振動分光法を用いてBDの表面吸着状態を評価する方法の確立や、ベースとなるデータの取得にも成功した。光機能性分子修飾AuNPやAuCの合成にも成功し、エネルギーまたは電子移動反応を示唆する結果も得ることができた。当初予定していた太陽電池用色素であるポルフィリンやフタロシアニンを導入したBDの合成に関して実験を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
高効率光電変換を実現するためには、プラズモン源となる金ナノ粒子と色素との界面制御が極めて重要である。そのためには光機能性分子修飾AuNPの合成と表面解析が基本的に重要であり、AuNP-光機能性分子間の相互作用、またAuNP存在下での光機能性分子と消光剤との相互作用を分子のコンホメーションや配向などの影響を調べながら詳細に調査し、同時に光電流測定を行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)