Outline of Annual Research Achievements |
オクタデカンチオール(ODT)またはポルフィリン連結アルカンチオール誘導体(PC10S)で表面修飾した金ナノ粒子(AuNP)(ODT-AuNPならびにPC10S-AuNP)の評価と,簡便な固定化法の確立並びに評価を行った. 局在表面プラズモン共鳴(LSPR)を示すAuNPを基板に固定化する技術を確立することは,表面プラズモン(SP)をデバイスへ応用していく上で重要な課題であり,明瞭なLSPRを示す粒径10 nm以上のAuNPの組織体を構築することが必須である.本研究では簡便に高密度単粒子膜を作製可能なLangmuir-Blodgett(LB)法を用いて,AuNP基板の作製を試みた.しかし,LB法にはAuNPが低極性有機溶媒に可溶かつ安定でなければならないという制限があるため,粒径10 nm未満のAuNPが限界であった.LSPRによる増強電場は,粒径50 nm程度で最大になるので,より大きな粒子を用いることが望ましい.そこで,粒径50 nmまでのODT-AuNPの合成を前年度までに報告した.本年度は,LB法によるODT-AuNP膜作製を行った.その結果,高密度単粒子膜を作製し,粒径による共鳴波長制御に成功した.また,大きな粒子の粒子膜は,より大きな増強電場を発生させているものと考えている. 次に,ODT-AuNPの技術を応用して,PC10S-AuNP基板を作製した.まず,増強電場と相互作用しやすく配向したPC10S-AuNP(粒径15-80 nm)を調製し,この溶液が最大で15倍もの発光増強を示すことを観測した.この強い発光は,高配向による効果と推測される.また,LB法により粒子膜を作製した結果,SPとPC10Sの励起子の強い相互作用が示唆された,強いLSPRを発現するAuNPの機能化と簡便な固定化法の確立に成功したことは,SPの実用化へ大きく貢献できる成果であると確信している.
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