2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能スピン分解光電子分光による金属超薄膜の電子状態の研究
Project/Area Number |
13J30002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
髙山 あかり 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | スピン分解光雷子分光 / 表面ラシュバ効果 / トポロジカル絶縁体 |
Research Abstract |
予てより建設・改良を進めてきたスピン分解光電子分光装置を用いて、強いスピン軌道相互作用を持つV族半金属(Bi, Sb)のラシュバ効果について研究を行った。Biは重元素であることから、強いスピン軌道相互作用によってエッジなどの1次元構造においてもラシュバ効果の発現が期待される。しかし、1次元の電子状態を観測することは非常に難しく、その電子構造は未解明であった。本研究では、Si (111)基板上にアイランド成長したBi薄膜において、エッジ構造に由来した1次元ラシュバ効果の観測に成功し、招待講演を含む学会発表を行った。また、表面バンドのスピン偏極率がバルクバンドから受ける影響にっいて明らかにするため、Biと同様なラシュバ効果をもつがバルクバンド形状の異なるsbについて、薄膜の作成とスピン分解ARPES測定を行った。本研究では、Bi/si薄膜の上にSbを蒸着して薄膜を作成する手法を新たに考案した。試料は、LEEDおよびARPESによる量子井戸間隔より、平坦な膜が作成できていることを確認した。両者の比較から、スピン偏極成分をもたないバルクバンドとスピン偏極した表面バンドの混成効果によって表面バンドのスピン偏極率が減少することを見出した。この結果は英国物理学会New Journal of Physicsにおけるラシュバ効果の特集記事に依頼論文として掲載が決定した。また、本研究では、トポロジカル絶縁体のワーピング効果と面直スピンの大きさの関係を議論するため、様々な系のトポロジカル絶縁体のスピン偏極率を測定し、実験と理論の比較を行った。その結果、歪んだフェルミ面をもつトポロジカル絶縁体で面直成分が観測され、歪みが大きくなるほど(ワーピング効果が強いほど)スピン偏極率の面直成分が大きくなることを実験的に確立した。この結果は、米国物理学会Physical Review Bに論文が掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(5 results)