2013 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞におけるカルパイン‐カルパスタチンシステムの果たす役割
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13J40014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂本 陽子 (工藤 陽子) 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | カルシウム / 虚血 / タンパク分解酵素 / 細胞死 |
Research Abstract |
カルパインとはカルシウム依存性タンパク分解酵素であり、心不全においては収縮タンパクの分解やアポトーシス惹起により心不全悪化をきたすといわれているが、その生体での役割には依然不明な点が多い。本研究では、カルパイン、またその内在性抑制タンパクであるカルパスタチンが心不全で果たす役割について明らかにすることを目的としている。我々はカルパスタチン欠失マウスに心筋梗塞モデルを作成しその病態学的役割について検討した。Westernblot (WB)および免疫染色による解析で、心筋梗塞慢性期に梗塞領域に隣接する辺縁領域の心筋細胞でカルパインが活性化していることがわかった。また、カルパスタチン欠失マウスでは野生型に比較してカルパインの更なる活性化と心不全の有意な悪化を認めた。さらに、カルパイン活性が認められる介在板では心筋梗塞後に介在板構成タンパクの発現の減少が認められた。さらに培養ラット新生仔心筋細胞ではカルパイン活性化により介在板構成タンパクであるN-cadherinの分解と介在板構造の変化が認められた。本研究により、心筋梗塞では慢性期の辺縁領域心筋細胞におけるカルパイン活性化により、介在板タンパクの分解を通じて介在板構造の変化をきたしており、介在板の脆弱性が心不全進展の重要なメカニズムの一つになっていることが示唆された。 またカルパインの新規分解タンパクとしてCaMKIIδに着目し、その分解部位や分解された時の機能を解析しているところである。CaMKIIδは心不全において治療標的として注目されているタンパクであり、今まで知られていないカルパインとの関係を明らかにすることで将来的に創薬応用への可能性も視野に入れられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルパインが心不全進展に関わるメカニズムの一端を明らかにし、これについては現在論文投稿中である。また、新規標的タンパクとしてのCaMKIIδであるが、分解部位の同定、機能解析の方法は確立済みであり、順次行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って研究を推進していく予定である。カルパインによるCaMKIIδの分解修飾のメカニズムと心不全における病態的意義を明らかにし、その成果を基盤として将来的には創薬への応用も視野に入れていく。
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Research Products
(2 results)