2013 Fiscal Year Annual Research Report
高効率DNA内シグナル伝達システムの構築とDNA光切断を用いた遺伝子操作法の開発
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13J40062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田仲 真紀子 筑波大学, 生命領域学際研究センター, 特別研究員(RPD)
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Keywords | DNA / PNA / 人工核酸 / 光酸化 |
Research Abstract |
本研究では、光によるDNA内シグナル伝達システムの制御から次世代の遺伝子改変技術への応用を目指している。オフターゲット認識を抑制し、巨大DNAの特定の配列を正確に認識できる人工核酸としてPNAが知られているが、本研究ではこのPNAの末端に任意の光酸化剤を修飾することで、光照射によってオンオフの制御可能なDNAの特定の位置での酸化損傷をおこさせるような系の構築を試みている。 まず本研究ではDNAのターゲット箇所と相補となる配列のペプチド核酸PNAの合成を行った。さらにこのN末端に適切な光酸化剤を化学修飾した。修飾には、代表的な光酸化剤として知られているアントラキノン等の複数のクロモフォアを試した。基質DNAとしては、以前から所属研究グループにより検討が進められているpBFP-N1を主に候補としている。合成したPNAが基質DNAにインベージョンされるかどうかについては、目的部分を含む数百ベースペアの大きさのDNAを用い、ポリアクリルアミド電気泳動法により適切な条件下でインベージョンされていることを確認した。次に得られた適切な条件を元に、プラスミドpBFP-N1に対して合成した修飾PNAをインベージョンさせ、クロモフォアの吸収帯にあわせて光照射を行った。DNAの特定位置での損傷は、適切な酵素および各種試薬を使用するとともに、各種酵素によりプラスミドの一カ所切断を行ってリニア状とし、アガロースゲル電気泳動での特定位置損傷の有無を評価している。 このように本研究では巨大DNAの特定の配列を正確に認識できる人工核酸PNAを合成し、さらにPNAの末端に任意の光酸化剤を修飾することで、光照射によってオンオフの制御可能なDNAの特定の位置での酸化損傷を起こす系の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAの目的部分を認識し、光酸化剤を隣接させる設計のpcPNAは順調に合成され、DNAの特定部分への損傷の検討・解析も現在行っているところであるため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
クロモフォア修飾PNAにより任意の場所が光損傷を受けたDNAを修復のためのドナーDNAと共に細胞内に導入し、相同組み替え修復の評価を行う。相同組み替えが望みの位置での切断により実際に起こったかどうかは、ゲノム上に青色蛍光タンパク質BFPの遺伝子を持っ細胞株を用い、その箇所をターゲットとし、緑色蛍光タンパク質GFPの遺伝子断片をドナーDNAとして導入することで、細胞からの発光色変化として確認するなどの手法で調べることが出来る。
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