2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規微小管関連蛋白Dapleの神経発達への影響の解明
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13J40134
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高岸 麻紀 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、微小管関連蛋白として解析しているDapleの遺伝子改変マウスにおける脳構造異常を検索した。大脳皮質層構造の異常を詳細に検討するため、発生段階の各時期における各層の神経細胞マーカーで免疫染色した。胎仔期から新生仔期、成獣までの大脳皮質神経細胞の位置異常を検討した。また、脳の構造異常を調べていく過程で、Daple遺伝子欠損によって側脳室が拡大し水頭症を生じることを発見した。先天性水頭症の家系でDaple遺伝子変異が報告されていることから、Daple遺伝子欠損マウスはヒトの先天性水頭症のモデルとなることがわかった。ヒトのDaple遺伝子変異による先天性水頭症の発症要因は不明で、患者さんは胎児や新生児で臨床研究も進んでいない。そこでこのモデルマウスを用いて先天性水頭症の発症要因を詳細に調べていくこととした。 まず各成長段階のマウス脳をパラフィン切片化しHEまたはクリューバー・バレラ染色を実施することで、水頭症の発症時期を検索した。マウスでは新生児期から側脳室が拡大していくことがわかり、3週齢になると頭部の膨らみが見られた。側脳室で産生された脳脊髄液は第3、第4脳室を通過してクモ膜下へ送られる。核磁気共鳴画像法(MRI)でT2強調画像を撮影すると、脳室経路の中でも特に側脳室において拡大していることを確認できた。次に、この脳脊髄液の流路に閉塞がないか検討した。成獣マウスを麻酔下で側脳室にインクを微量注入し、数分後に解剖してインクの拡散度に野生型と差がないか検証した。同時に、マイクロスライサーで脳の連続切片を作製し、脳脊髄液の通過経路に閉塞がないか顕微鏡下で面積を計測し検証した。これらの実験から、Daple遺伝子変異による水頭症は、先天性水頭症の要因として良く知られている閉塞性(非交通性)水頭症には当てはまらないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった研究に加え、遺伝子改変マウスの脳構造異常を調べていく上で、側脳室の拡大という新しい発見があった。さらに水頭症の発症要因を解析することができた。ヒトの遺伝子変異による疾患の要因をマウスモデルで検証できると確信した。 また、微小管の制御機構を調べるため、Yeast two hybridやLC/MSを用いて、結合蛋白質のスクリーニングを行った。時間のかかるスクリーニングを最初に実施できたので、その後の研究がスムーズに進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、Daple遺伝子改変マウスの水頭症発症機序を調べるため、Wnt/PCP経路が制御する繊毛極性を検証する。脳室壁を解剖し、上衣細胞の繊毛や繊毛基底小体の方向性を電子顕微鏡で撮影し、定量解析する。 さらに、結合蛋白質のスクリーニングによって得られた結果より、Dapleによる微小管動態の制御機構を解析する。培養細胞にDaple蛋白質を強制発現し、免疫沈降して結合蛋白質との結合や結合部位を検索する。また、Dapleの結合によってその蛋白質の活性や微小管制御機能にどのような影響を与えるのか、精製蛋白質を用いて生化学的に検証する。
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[Journal Article] TRIM27/MRTF-B-Dependent Integrin β1 Expression Defines Leading Cells in Cancer Cell Collectives.2014
Author(s)
Takuya Kato, Atsushi Enomoto, Takashi Watanabe, Hisashi Haga, Sumire Ishida, Yuji Kondo, Koichi Furukawa, Takeshi Urano, Shinji Mii, Liang Weng, Maki Ishida-Takagishi, Masato Asai, Naoya Asai, Kozo Kaibuchi, Yoshiki Murakumo, Masahide Takahashi.
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Journal Title
Cell reports.
Volume: 7
Pages: p1156-1167
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Regulation of cargo-selective endocytosis by dynamin 2 GTPase-activating protein girdin.2014
Author(s)
Liang Weng, Atsushi Enomoto, Hiroshi Miyoshi, Kiyofumi Takahashi, Naoya Asai, Nobuhiro Morone, Ping Jiang, Jian An, Takuya Kato, Keisuke Kuroda, Takashi Watanabe, Masato Asai, Maki Ishida-Takagishi, Yoshiki Murakumo, Hideki Nakashima, Kozo Kaibuchi and Masahide Takahashi.
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Journal Title
EMBO Journal.
Volume: 33
Pages: p2098-2112
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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