2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J40207
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
嶋田 容子 同志社大学, 研究開発推進機構, 日本学術振興会特別研究員(RPD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 乳児 / 2歳児 / きょうだい / 音声コミュニケーション / 唱和 / 音楽性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.生後24ヶ月の乳幼児20名を対象に、唱和に関する実験を実施した。 手続き:乳幼児調査室において、乳児と調査者が下記の二条件で各10分間の自由遊びをおこない、その際の乳幼児の音声と行動をビデオで記録した。重複条件:調査者が子どもの発声に対し即時応答で声を重ねた。交替条件:調査者が子どもの発声に対して間を取り応答した。ビデオから、リズミカルな反復、指さし・共同注意などの行動の頻度を分析した。結果:重複条件で音楽的要素を含む行動、交替条件で社会的働きかけが多くみられた。前年度に調査した4ヶ月児と12ヶ月児では、そのような条件の差は有意ではなかった。言語獲得およびコミュニケーション形式の理解が進む過程において、音声が重複するコミュニケーション形式への理解が発達している可能性、また重複の形式が音楽的要素の発生に関連する可能性が示唆された。本研究の結果は、国内学会で発表した他、現在Journal of Behavioral Developmentに投稿中である。 2.24ヶ月児と年上のきょうだいの自然なインタラクション場面をもとに、音声重複が積極的に起きる場面を分析した。 手続き:小型のビデオカメラ等を用いて、家庭における2歳児と年上のきょうだいの自然なインタラクションを、家族が随時ビデオカメラで撮影した。結果:50%程度の音声重複が継続することが頻繁にみられ、その中では一定の音楽的な特性を共有されていた。今回得られたような持続時間と音楽的展開は、幼いきょうだいとの間に限ってみられた。きょうだいとの間で発声が即興的に音楽的コミュニケーションへと展開しやすいことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験データの取得を完了した。実験結果の成果報告については、予備的なデータに関する論文を投稿したほか、各月齢の発声・行動分析結果をまとめた論文の執筆を進めた。視線計測データは装置の不備・時間的な制限から行動計測を優先したことなどから、十分な数のデータを得られなかったが、行動データから仮説を支持する結果を得ることができた。また、フィールド観察についても順調にデータを収集し、事例分析を進めることができた。以上から、一部のアプローチを除いて、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
フィールド観察データの収集を完了し、成果を保育関連の和雑誌に投稿する。これまでのデータの全体を論文にまとめ、Journal of Behavioral Development など国際誌に投稿するほか、日本心理学会等の学会で成果をまとめて発表し、関連研究者との議論を深める。また、乳児養育中の母親・父親、保育士などを対象とした一般講演などでも積極的に成果を報告する。発達および保育関係者にも広く受け入れられる書籍の出版に向けて執筆を進める。
|
Research Products
(5 results)