2005 Fiscal Year Annual Research Report
大脳認知記憶システムの分散型メカニズムの解明:サルfMRI法に基づく統合的研究
Project/Area Number |
14002005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 保司 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40114673)
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Keywords | 神経科学 / 磁気共鳴機能画像 / 記憶 / 大脳皮質 / 画像計測 |
Research Abstract |
平成17年度において、まずサル用高磁場磁気共鳴画像システムの高機能化は計画通り完了した。傾斜磁場電源を300V・200Aとそれぞれ2倍に強化し、傾斜磁場性能が従来の50mT/mから100mT/m(rise time〜175μs)へと強化された。その結果、撮像性能としては、single-shot EPIが可能となり、フリップアングルも90゜が設定可能となって信号強度増大をもたらした。年度当初計画は完全に満たされ機能画像計測の準備が整ったと評価している。次に、大脳側頭葉における局所神経回路の解析においては、複数ニューロン同時記録法による解析が成果を上げた。テトロード型微小電極を用いて神経活動を記録し、クラスタカッティング法によって単一神経活動を分離し、これらのニューロン活動の時間相関を計算した。顔の全体構造を表す情報が含まれている場合はこれら複数ニューロン間相互作用を表す相関ヒストグラムの振幅が増大することが明らかになった。この複数ニューロン間相互作用は刺激提示後300ms以内に有意になる早い相互作用メカニズムによって実現されていることも判明した。次に更に大きいスケールの神経回路として、前頭葉・側頭葉相互作用の解析をおこなった。対連合記憶の想起期間中に干渉刺激を導入した時に側頭葉ニューロンの活動がどのように影響されるかを調べたところ、側頭葉ニューロンの2つのタイプのうち"cue-holding"型ニューロンでは干渉刺激により記憶情報が失われるが、"pair-recall"型ニューロンでは記憶情報が保持され続けることが判明した。この結果、"pair-recall"型ニューロンが同様な反応パターンを有する前頭葉ニューロンと相互作用している可能性が示唆された。これらの成果は、「研究発表」に記した一流誌に発表された。
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Research Products
(6 results)