2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14002008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石渡 信一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10130866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船津 高志 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00190124)
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Keywords | 生体分子モーター / 1分子蛍光イメージング / アクチン / 光ピンセット / ナノバイオロジー / 筋収縮系 / シャペロン / バイオナノゲージ |
Research Abstract |
顕微解析装置については、光ピンセットを組み込んだ1分子計測・操作用顕微鏡装置を一台組み上げた。また並行して、高時間・高空間分解の顕微解析装置を組み上げるべく準備をしている(研究対象がミオシンVにも広がり、結合破断力計測だけでなく、高時間分解能を備えたnm、サブpN精度の精密解析が必要になったため)。遺伝子組換え施設などの研究環境の整備も進めた。 主な研究成果を箇条書きにすると、1)アクチン・ミオシンV系において、ATPaseに伴うステップ状の運動を高時間・高空間分解で計測し、これまで報告されていた36nmステップが、11nmと25nmの2つのサブステップから構成され、ATP加水分解ステップとの対応を解明(東北大・樋口秀男研との共同研究;論文準備中)。2)微小管・キネシン系では、各ヌクレオチド結合状態での1分子力学特性(結合破断力、結合寿命など)を計測。ヌクレオチドなし状態で単頭・双頭結合変換を捉え、双頭結合の方に平衡が大きく傾いていることを解明(Biophys. J. 84,1103-1113,2003に発表)。さらに、負荷の方向によってADP結合能が異なるという、1分子で方向性運動を行う力学酵素の本質を発見(Nature Struct. Biol. 4月号に掲載予定)。これらの性質が、単頭・双頭結合間や、結合・破断の間の平衡関係を考慮した簡単な分子モデルで理解できることも明らかにした(上記BJ論文)。3)多分子系の特徴と見られる自励収縮振動(SPOC)現象を顕微解析して力学刺激応答性を発見し、4)シャペロニン機能の1分子顕微解析や、5)細胞内での1分子(受容体やmRNAなど)の動きの解析、細胞膜に存在する化学受容体のダイナミクスについても、既存の設備を用いて順調に研究を継続した。6)バイオナノゲージ計画についても、遺伝子組換え技術や新しい蛍光物質の探索を開始した。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Uemura, S. et al.: "Kinesin-microtubule binding depends on both nucleotide state and loading direction"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 99. 5977-5981 (2002)
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[Publications] Ali, M.Y.et al.: "Myosin V is a left-handed spiral motor on the right-handed actin helix"Nature Struct. Biol.. 9. 464-467 (2002)
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[Publications] Fujiwara, I. et al.: "Visualization and force measurement of branching by Arp2/3 complex and N-WASP in actin filament"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 293. 1550-1555 (2002)
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[Publications] Fujita, H. et al.: "Regulatory roles of light chain 2 in MgADP-induced contraction"J. Physiol.. 542. 221-229 (2002)
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[Publications] 川口憲治, 上村想太郎, 石渡信一: "キネシン分子モーターの仕組み"生物物理. 42. 156-162 (2002)
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[Publications] Fujiwara, I. et al.: "Direct observation of polymerization-depolymerization dynamics of single actin filaments"Nature Cell Biol.. 4. 666-673 (2002)
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[Publications] Funatsu, T. et al.: "Rapid and sensitive detection method of a bacterium using GFP reporter phage"Microbiol. Immuno.. 46. 365-369 (2002)
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[Publications] 船津高志: "1分子蛍光イメージング技術による生命現象の解析"可視化情報学会誌. 22. 18-21 (2002)
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[Publications] 座古保, 船津高志: "生体機能を1分子レベルで探る-1分子蛍光イメージング"分光研究. 51. 3-14 (2002)
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[Publications] Shirasaki, Y. et al.: "Micro Total Analysis System Vol.2"Kluwer Academic Publishers. 972 (2002)
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[Publications] 船津高志: "感覚器官と脳内情報処理(御子柴克彦、清水孝雄編)"共立出版. 274 (2002)