2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14002010
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河野 公俊 独立行政法人理化学研究所, 河野低温物理研究室, 主任研究員 (30153480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 弘樹 独立行政法人理化学研究所, 河野低温物理研究室, 研究員 (70313161)
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Keywords | ヘリウム液面電子 / Qubit / ヘリウム液面下のイオン / 超流動 / ヘリウム3 / 表面 / ナノ構造 |
Research Abstract |
液体ヘリウムの表面は究極の清浄表面である。その表面に形成される低次元系には2次元電子系、液体^4He表面に吸着された1層以下の希薄^3He原子層、液面下に蓄えられる正および負の2次元イオンプールなどがある。この研究ではヘリウム表面上の電子と表面下のイオンをプローブとして、液体ヘリウム表面の持つ界面としての特性を探求するとともに、ヘリウム液面上の電子を面内に閉じ込める技術を開発し、ミリ波吸収による量子状態の制御と量子ビットへの応用の可能性を探るという2つのテーマについて研究を実施する。 本年度は^3He表面研究のために準備中であった、核断熱消磁クライオスタットが完成し、テストの結果40μK以下の温度を生成することに成功した。この冷凍機に取りつける試料容器を作成中であり、来年度に測定を行う予定である。 方位制御および連続回転可能な核断熱消磁クライオスタットの建設を進め、毎秒2/3回転の回転数において、安定的かつ継続して5mKを維持することができるようになった。今後毎秒1回転までの性能試験を行った後、ウィグナー結晶の輸送現象に関する測定を開始する。^4Heでの測定の結果を見ながら、断熱消磁機構を取りつける予定である。 ナノサイズの間隙をもつ電極を用意し、ヘリウム薄膜上に蓄えられた電子系の移動度測定を試みてきた結果、100nm程度の厚さを持つヘリウム膜上にのった電子からの信号を捕らえることに成功した。しかし、この系は非常にデリケートであり、いまだに再現性に乏しい。最もよい条件のもとでも、数時間のスケールで信号が減衰して行き、電子が逃げて行くことを示している。このようなゆっくりとした、電子のリークの機構を明らかにすることは、非常に興味深く、今後の課題である
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Research Products
(2 results)