2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト科における染色体レベルでの大規模ゲノム再編成に関する研究
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14011213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
數藤 由美子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (70313202)
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Keywords | 霊長類 / FISH法 / ゲノム再編成 / 核型進化 |
Research Abstract |
ヒトの種特異性や進化を探るうえで、類人猿のゲノムとの比較研究は重要な情報を与える。本研究では、従来の詳細な塩基配列レベルでの解析ではなく、巨視的な染色体レベルでのゲノム重複・欠失領域の探索を試みた。そのために、ヒトと大型類人猿であるチンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン(新たな分類でいうヒト科)について、比較ゲノムハイブリダイゼーション(comparative genomic hybridization, CGH)法の改変と、霊長類各種のCot-1 DNAの作製に成功した。等量のヒト由来全DNAと類人猿由来全DNAを異なる蛍光色素[SpectrumGreen(緑色)とSpectrumRed(赤色)]で標議し、コンペティターとしてのそれぞれの種のリンパ球から作製したCot-1 DNAとともに混合し、それぞれの種の染色体標本にハイブリダイズし検出した。コンピュータ解析により、染色体の部位ごとに色素蛍光量の比をとり、ゲノムの増減を比較した。これにより、染色体領域の増幅・欠失などの大規模なゲノム変化を、異種間で比較・検索した。 その結果、アフリカ産大型類人猿(チンパンジー、ボノボ、ゴリラ)の染色体末端や介在部に、ヒトとオランウータンには存在しない巨大な反復配列を見出した。さらにそのような反律配列領域以外にも、ヒト第10番染色体をはじめとする染色体特定領域の増幅を示唆する結果を得た。そこで、これら染色体領域に対応するヒトゲノム全塩基配列情報の解析をおこない、ヒト科における染色体レベルでの大規模なゲノム変化について調べた(論文投稿準備中)。 並行して、ヒトの23対の染色体を識別するM-FISH法を大型類人猿に用いて、染色体上の再配列部位を特定した。さらに、この領域近傍に位置するチンパシジークローンをもとにマイクロアレーを作製する技術を確立した。これは、ヒトとチンパンジーの諸組織より得られたmRNAを用いた発現の種間比較解析に有用となる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Osada, N.(他): "Cynomolgus monkey testicular cDNA library for discovery of novel human cDNAs in the human genome sequence"BMC Genomics. 3. 36-47 (2002)
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[Publications] Sakate, R.(他): "Analysis of 5'-end sequences of chimpanzee cDNAs"Genome Research. (印刷中). (2003)