2002 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴イメージング法を使った生体内遺伝子発現プロファイルのための新手法の開発
Project/Area Number |
14011243
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
杤尾 豪人 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助手 (70336593)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 発現制御 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本研究では磁気共鳴イメージング(MRI)を使った遺伝子発現プロファイル法の開発を目的とし、生体内部の遺伝子発現を非破壊的に一細胞レベルで観察することを目指す。これらを実現するために、以下の二つの異なった原理のモニターシステムを考案し、酵母細胞を用い、実現可能性を探った。 (1)細胞内ポリリン酸合成に関与する遺伝子をレポーター遺伝子とし、遺伝子発現をポリリン酸の^31P NMR信号により検出する。 (2)常磁性金属イオンを含有する蛋白質を細胞内で発現させ、発現した蛋白の水の^1Hの磁気緩和定数に与える影響により検出する。 (1)ポリリン酸合成に関与する遺伝子群の一つであるphm4遺伝子を欠損させた酵母変異体を調製したところ、ポリリン酸の^31P NMRシグナルが完全に消失する。恒常的に発現するプラスミドベクターを用いてこの変異体にphm4遺伝子を導入すると、ポリリン酸シグナルが回復した。また、培地中のガラクトース濃度の変化で誘導されるGallプロモーターを使って、ポリリン酸シグナルがphm4の転写のON/OFFと相関するかどうかを調べた結果、phm4のmRNA量がガラクトース誘導後2時間で急速に増大するのに伴い、ポリリン酸シグナル強度も増大していった。以上の結果から、任意の遺伝子発現のON/OFFをphm遺伝子群とカップルさせれば^31P MRIで非破壊的に遺伝子発現を検知することが可能であることがわかった。現在、^31P MRIにより検出感度、分解能などをテストしている。 (2)現在、常磁性金属含有蛋白質としてフェリチン、フェレドキシン、シトクローム類を大量発現する酵母を調製している。これらの酵母を^1H NMRを用いて水分子の^1Hの磁気緩和の時定数を測定し、発現蛋白質、蓄積した常磁性金属の量と相関があるかどうかを調べる。
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