2002 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインフラックスと遺伝子発現の協調的制御による細胞構築原理の解明
Project/Area Number |
14014225
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中井 正人 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90222158)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 真吾 大阪大学, たんぱく質研究所, 日本学術振興会特別研究員
|
Keywords | 葉緑体 / プラスチド / 蛋白質輸送 / 蛋白質膜透過 / レドックス制御 / 分子シャペロン / オルガネラ / 光合成 |
Research Abstract |
植物体は葉や根、花など機能的に分化した器官・組織を形成し、さらにそれぞれの機能を維持するために空間的にも時間的にも特有の蛋白質のセットを合成して細胞内外に配置している。このような細胞内外を輸送される蛋白質の流れをプロテインフラックスとして捉えることができる。本研究では特に植物の様々な代謝活動に必須なプラスチドへのプロテインフラックスを題材として解析を行う。本年度の解析から以下の結果を得た。 暗所で生育させた黄化葉のエチオプラストや貯蔵器官のアミロプラスト等、植物の器官特異的に分化・機能しているプラスチドには、葉緑体と同様のタンパク質輸送装置が共通に存在し機能すると考えられている。このことを検証するため、緑葉から葉緑体、黄化葉からエチオプラスト、根からroot plastidを単離し、光合成型FdI、非光合成型FdIII前駆体を用いて輸送実験を行った。その結果、葉緑体の場合と比較して、エチオプラストやroot plastidでは、非光合成型FdIIIに対して高い輸送効率を示した。この高効率の輸送はmMレベルのATPに依存していた。一方、包膜タンパク質輸送装置の既知のコンポーネントは異なるプラスチド間でも共通に存在していた。これらの実験結果は、非光合成型プラスチド包膜のタンパク質輸送装置は基本的には葉緑体のものと同じであるが、非光合成型タンパク質に対して高い親和性を示すATP依存性の別のコンポーネントが存在するか、同じコンポーネントでも、それ自身がATP依存的に変化している可能性を示している。さらに、プラスチド機能に欠陥のあるシロイヌナズナT-DNA挿入突然変異体の単離も進めており、これらの変異体の中にはプラスチドへの蛋白質輸送やその制御に変化が生じたものも含まれており、今後の本研究の遂行上強力なツールとなると考えている。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 中井 正人: "葉緑体への輸送"わかる実験医学シリーズ「細胞内輸送がわかる」. 1. 68-77 (2002)
-
[Publications] Masato Nakai: "Molecular Scaffolds Involved in Iron-sulfur Cluster Biosynthesis"Recent Research Developments in Proteins. 1. 1-11 (2002)
-
[Publications] Kozo Morimoto: "Identification of a novel prokaryotic HEAT-repeats-containing protein which interacts with a cyanobacterial IscA homologue"FEBS Letters. 519. 123-127 (2002)