2002 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリオファージゲノム及び遺伝子の共通性と多様性
Project/Area Number |
14015211
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
有坂 文雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (80133768)
|
Keywords | 感染機構 / バクテリオファージ / X線結晶解析 / 超遠心分析 / 分子集合 / リゾチーム / テイルリゾチーム / 収縮性尾部 |
Research Abstract |
T4類縁ファージはT4ファージからの相同性の違いの度合いによって、Teven, Pseudo-Teven, Schizo-Teven, Exo-Tevenに分類される。最近、これらT4類縁ファージの全ゲノム配列が次々と決定されつつある。当研究室では、昨年テイルリゾチーム蛋白質(gp5)の結晶化・立体構造の解明に成功した。この蛋白質はN末端ドメイン、リゾチームドメイン、C末端ドメインの3つのドメインからなり、C末端ドメインは新規の3本鎖βヘリックス構造を形成している。このようなドメイン構造がT4ファージ類縁ファージの間でどのように保存されているかを調べた。その結果、RB69,RB49などPseudo-Tevenファージではβヘリックスの長さが若干異なるだけで構造も保存されていると考えられたが、Schizo-TevenファージであるKVP40ではリゾチームドメインが欠失していることが分かった。さらに、Exo-Tevenファージのspm2ではN末端ドメインだけが相同性が高く、リゾチームドメインもC末端ドメインも相同性が低く、3本鎖βヘリックスの存在も明らかではない。そこで、英国のMann博士より、spm2ファージのDNAを譲り受け、PCR法によって同ファージの遺伝子5をクローニングした。配列の確認も行ったがまだ大量発現には成功していない。他方、最近次々にファージの全ゲノム塩基配列が決定されつつある。そこで、これらのファージを検索し、69種、約7千五百のORFを収集した。これを国立遺伝研西川建教授の構築されたGTOPに登録し、同教授のご協力を得て網羅的な相互塩基配列比較を行うと共に、各ファージのゲノムの物理地図を作製している。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Shuji KANAMARU: "The Structure of the Bacteriophage T4 Cell-Puncuring Device"Nature. 415. 553-557 (2002)
-
[Publications] Fumio ARISAKA: "The Tail Lysozyme Complex of Bacteriophage T4"The Int.J.Biochem. & Cell Biol.. 35. 16-21 (2003)
-
[Publications] Li ZHAO: "P15 and P3, the Tail Completion Proteins of Bacteriophage T4, Both Form Hexameric Rings"J.Bacteriol.. 185. 1693-1700 (2003)
-
[Publications] Eric MILLER: "The Bacteriophage T4 Genome"Microbiol.Mol.Biol.Rev.. 67. 86-156 (2003)
-
[Publications] 金丸周司: "T4ファージの構造生物学と感染のメカニズム"生化学. 74. 131-135 (2002)
-
[Publications] 金丸周司: "T4ファージの注射針複合体"生物物理. 43. 21-24 (2003)