2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14017101
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
古川 貴久 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第4研究部, 研究部長 (50260609)
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Keywords | 中枢神経系 / 網膜 / 細胞運命 / 光受容体 / 遺伝子制御 |
Research Abstract |
申請者は網膜視細胞の発生に重要な役割を果たす分子Crxの発現制御機構を明らかにすることが重要であると考え、Crxのプロモーター解析を行った。その中で、Crx自身がCrxの転写活性化を行うことを見いだして報告した(Furukawa et al., J.Nuerosci.2002)。Crxノックアウトマウスの網膜では、網膜視細胞の外節がまったく形成されなかったが、視細胞自体は形成された。Crxと機能的に重複する遺伝子があると推測された。申請者はCrxとおなじ遺伝子ファミリーに属するOtx2に注目し、Otx2もCrxの自己活性化部位に結合し、Crxの発現制御に関わる可能性があると考え、その網膜における発現を調べたところCrxと同様に分化しつつある網膜視細胞に発現していた。Otx2のノックアウトマウスは胎生致死で、網膜発生での機能を検定できなかった。申請者は最近、網膜視細胞特異的に発現するCrxプロモーターCreトランスジェニックマウスを作成した(論文準備中)。このマウスと神戸再生研の松尾勲博士らが作成したOtx2-floxマウスを掛け合わせ、網膜視細胞特異的なOtx2遺伝子のコンディショナルノックアウトマウスを作成した。Otx2のノックアウトマウスは致死であるが、Otx2遺伝子のコンディショナルノックアウトマウスは正常に生まれてきて生存可能であったが、眼球が有意に小さかった。網膜組織を解析したところ、驚くべきことに、視細胞は形成されず、アマクリンニューロンが増加していた。また、非常に興味深いことに、松果体もまったく形成されていなかった。また、Otx2遺伝子をレトロウイルスベクターに組み込んで、網膜未分化前駆細胞に発現させたところ、Otx2ウイルスが感染した細胞は網膜視細胞へと分化した。この結果からOtx2は網膜視細胞形成ならびに松果体形成の最上流因子の一つであることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)