2005 Fiscal Year Annual Research Report
TLRファミリーによる病原体認識とシグナル伝達の分子機構
Project/Area Number |
14021054
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
審良 静男 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50192919)
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Keywords | Toll-like receptor / I型IFN / RIG-I / 2本鎖RNA / RNAウイルス / IPS-1 |
Research Abstract |
我々は、Toll-like receptor(TLR)やそのシグナル伝達分子のKOマウスを作製し、TLRがウイルス感染時の1型IFN産生に関わることを明らかにした。ところが、全てのTLRのシグナルが入らないMyD88とTRIFのDKOマウスでも尚、RNAウイルス・やdsRNAによってI型IFNが誘導された。最近、RNAヘリカーゼのRIG-IがdsRNAを認識して抗ウイルス応答を誘導することが分かった。TLR非依存的な抗ウイルス応答を明らかにする目的で、RIG-IのKOマウスを作製した。conventional DCや胎仔線維芽細胞ではRNAウイルスに対するI型IFNの誘導にRIG-Iが必須の役割を果たした。一方、形質細胞様樹状細胞では主にTLRファミリー依存的に1型IFNを誘導した。TLR非依存的なウイルス応答に関わるシグナル伝達経路を明らかにする目的で、IFN-βプロモーターを活性化する分子の同定を試み、強制発現によりIRF3,IRF7,NF-κBを介してI型IFNやIFN誘導性遺伝子を誘導するIPS-1を同定した。IPS-1はTBK1,IKKiに依存的にI型IFNを誘導した。IPS-IはRIG-Iや、同じく抗ウイルス応答に関わるヘリカーゼのMda5とCARDドメインを介して結合するアダプター分子であることが分かった。dsRNAだけでなく、トランスフェクションによりdsB-DNAを細胞質内に導入するとI型IFNを誘導することを明らかにした。B-DNAはTBK1,IKKi依存的にIRF3を活性化した。この反応はIPS-1をノックダウンした細胞で消失していた。一方、dsRNAを認識するRIG-IはB-DNAの認識には関与していないことを明らかにした。以上の結果は、ウイルス感染時の自然免疫による生体防御機構の包括的な解明の端緒となった。
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