2004 Fiscal Year Annual Research Report
細菌性腸管感染症の初期過程(細胞への付着と侵入)に関わる因子と細胞応答反応
Project/Area Number |
14021055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本田 武司 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60029808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 哲也 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (90221746)
児玉 年央 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20346133)
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Keywords | 病原性大腸菌 / EHEC / 腸炎ビブリオ / プロビデンシア / 3型分泌装置 / エフェクター / 耐熱性溶血毒 |
Research Abstract |
発症機構に特徴のある病原性大腸菌(EHEC)、腸炎ビブリオ、プロビデンシアの3菌種を取り上げ、それぞれの特徴をうかび上がらせ比較しながら解析を進め、以下のような知見を得た。1)EHECについて:3型分泌装置により分泌される未同定のエフェクター分子を検索し、3型分泌タンパクとして同定できたタンパクのうち未報告の蛋白と思われる蛋白(おそらくエフェクター)が見つかった。現在この蛋白の毒作用(生理作用)について解析している。2)Providenciaの病原性について:われわれが食中毒の原因菌として見出したProvidenciaの病原性発現機構の1つにサルモネラに類似した細胞侵入性を見い出したが、細胞内での殺菌作用を逃れるメカニズムを追及し、SOD (Superoxide disumutase)の関与を示唆する知見を得たので詳細な解析を行っている。3)腸炎ビブリオの病原性について:腸炎ビブリオの下痢原性はTDH(耐熱性溶血毒)も重要な病原因子として働いているが、tdh遺伝子を欠損させても、残存する下痢原性が見られたことから、TDH以外の未知の病原因子が存在する可能性が示唆された。一方、3型分泌装置(TTSS-1,TTSS-2)の構築に必要な遺伝子群を大および小染色体上に各1つ、計2ヶ所見い出したので、これらを欠損させて病原性を調べたところ、大染色体上のTTSS-1を欠損させると細胞毒性が消失し、小染色体上のTTSS-2を欠損させると腸管毒性(下痢原性)を失うことから、TTSS-2を介して分泌される下痢原性のあるエフェクターが存在する可能性が示唆された。現在、エフェクター分子の特定をすすめている。互いに特徴的と考えて選んだ3菌種であるが、上の結果に見るように、3型分泌装置、およびそれによって分泌されるエフェクター分子が広く病原菌の病原性に関わっていることが明らかになり、今後研究の中心課題の1つになるものと思われる。
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Research Products
(6 results)