2002 Fiscal Year Annual Research Report
病原微生物および宿主の違いによる感染の感受性と特異性の発現機構の解明
Project/Area Number |
14021076
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白井 睦訓 山口大学, 医学部, 教授 (20196596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 公志郎 山口大学, 医学部, 助手 (30284243)
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Keywords | クラミジア / 結核 / 感染 / 感染免疫 / 細菌 / アレイ / ゲノム情報 / 遺伝子 |
Research Abstract |
由来臓器の異なる3種の細胞のC. pneumoniae(動脈硬化病巣の80%以上で検出される)感染後の遺伝子発現をヒトDNAマイクロアレイで網羅的に解析し、クラスタリング解析の結果、各細胞特有の変化遺伝子群が非常に多く見つかった。同様にC. pneumoniae、M. tuberculosisの感染細胞の比較でも、クラミジアに対する宿主応答遺伝子には独特のパターンがあることがわかった。同じC. pneumoniae感染でも感染前期と後期では発現遺伝子パターンは大きくことなること、C. pneumoniae株間によっても発現の異なる遺伝子群が多くみつかることが判明した。C. pneumoniaeの全遺伝子DNAアレイを作製して、同様な解析を行っても、やはり株間や感染時相、感染細胞種によって発現パターンは異なっていた。それらの菌側の遺伝子の発現変化が宿主の特異的遺伝子発現パターンに関係していることが示唆される(投稿準備中)。宿主細胞のサイトカインなど感染制御遺伝子は、24時間以降に発現の増幅がみられた。また、アレイ上感染後24時間でIAP1,XIAPの発現上昇を認めたが、この発現はその後低下しており、クラミジア増殖中一過性に宿主細胞のアポトーシスを抑制していると考えられた。また、C. pneumoniaeDNAアレイで封入体膜遺伝子ファミリーは感染初期から持続的に高発現しているが、宿主細胞質内に同タンパクが蓄積した感染後期ではアポトーシスに進みやすくなる。封入体膜遺伝子をHeLa細胞に導入・発現させたところ、発現タンパク質の局在はミトコンドリアに一致することがわかった。さらにstaurosporineやTNF-αでアポトーシスを誘導すると同遺伝子導入細胞はアポトーシスを起こしやすいことを解明した(投稿準備中)。一方、我々は日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業の成果として肺炎クラミジアの全ゲノム解析に続いて、肺炎クラミジアに最も近似したゲノムを持つにもかかわらず、全く異なる疾病を起こす(動脈硬化VS結膜炎)ネコクラミジア菌(C. felis)の全ゲノムDNA配列を決定し得たので(投稿中)、両菌の網羅的遺伝子発現情報の比較解析中で(アレイデータ集計中)、動脈硬化発生・病態の解明、感染特異性や感染排除という難解な問題を解明する手がかりをつかめることを目指している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoneda H: "Aspirin Inhibits Chlamydia pneumoniae-Induced NF-□B Activation, COX-2 Expression and PGE2 Synthesis, and Attenuates Chlamydial Growth"J. Med. Microbiol.. (in press).
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[Publications] Toh H: "In silico inference of inclusion membrane protein family in obligate intracellular parasites chlamydiae"DNA Research. (in press).
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[Publications] Okamoto K: "A Change in PBP1 Is Involved in Amoxycillin Resistance of Clinical Isolates of Helicobacter pylori"J.Antimicrobial Chemother.. 50. 849-856 (2002)