2002 Fiscal Year Annual Research Report
気道粘膜の感染防御機構におけるヒトβデフェンシンの作用解明
Project/Area Number |
14021089
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
迎 寛 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (80253821)
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Keywords | 気道免疫 / βデフェンシン / αデフェンシン / びまん性汎細気管支炎 / RIA / サイトカイン |
Research Abstract |
デフェンシンは抗微生物活性を示す塩基性ペプチドであり、αデフェンシンは主に好中球、βデフェンシン1は主に腎、子宮などの泌尿器に、2は主に皮膚や気道の上皮に存在する。特発性肺線維症(IPF)症例の血漿と気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いて、我々が開発したRIA法により、αデフェンシンを測定した。その結果は健常者と比較して有意に血漿で高値であり、その値は呼吸機能検査値や動脈血酸素分圧値と逆相関を認めた。このことから、IPF症例ではαデフェンシンがその肺障害において何らかの関与をしていることが明らかとなった。また、肺生検組織のαデフェンシンの免疫染色では線維化が強い部分で発現がみられており、線維化とαデフェンシンの関連性も示唆された。また、びまん性汎細気管支炎(DPB)症例でその血漿とBALF中のαデフェンシンとβデフェンシン1,2を測定し、αデフェンシンとβデフェンシン2が血漿・BALFともに高値であり、IL-8やIL-1βなどのサイトカイン値とよく相関することを示した。また、合成したαデフェンシン、β1、β2では緑膿菌に対する感受性試験で、β2以外は緑膿菌に対する殺菌作用がみられなかった。このことから、DPBをはじめとする慢性気道感染症ではその気道内のβ2デフェンシンが重要であることが示唆された。またβ2デフェンシンの免疫染色では健常肺では主に肺胞II型細胞で発現がみられた。しかし、DPB症例では気道上皮細胞に主に活性がみられ、気道炎症においては気道上皮細胞からのβ2デフェンシンの産生が重要であることが明らかとなった。また、気道上皮細胞を用いてin vitroの研究を行っているが、αデフェンシン50μg/mlの濃度での刺激で気道上皮細胞からIL-8、IL-1β、GM-CSFなどのサイトカインのmRNAの発現が亢進することを(Rnase protection assayにて)明らかとしたが、この作用はβ2デフェンシンには認められなかった。現在、サイトカインの産生に対するマクロライド薬の影響を検討中である。またヒトβデフェンシン3のRIA開発を目的として合成ペプチドを作製し、この抗微生物活性を確認した。現在このペプチドをウサギに免疫し、抗βデフェンシン3抗体を作製が終了しており、RIAの開発中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiroshi Mukae, Hirotoshi Iiboshi, Masamitsu Nakazato et al.: "Raised plasma concentrations of α-defensins in patients with idiopathic pulmonary fibrosis"Thorax. 57・7. 623-628 (2002)
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[Publications] Takeaki Hiratsuka, Hiroshi Mukae, et al.: "Elevated concentrations of human β-defensins in plasma and bronchoalveolar lavage fluid of patients with diffuse panbronchiolitis"Thorax. (In press). (2003)
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[Publications] 迎 寛, 河野 茂: "気道粘膜の感染防御機構-デフェンシンを中心として-"医学のあゆみ. (In press).