2004 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞と微生物の相互作用による自然免疫系の活性化とその調節機構の解明
Project/Area Number |
14021110
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小安 重夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90153684)
|
Keywords | ノックアウトマウス / Th1 / IL-12 / Th2 / Pten |
Research Abstract |
これまでにPI3KノックアウトマウスにおいてはTh2反応の誘導不全が見られ、結果として糞線虫(S.venezuelensis)感染に高感受性であることを示してきた。逆にこのマウスではTh1反応の亢進が見られる。その結果、本来はTh2反応が誘導されるためにLeishm ania majorを排除できないBALB/cマウスへ戻し交配をして得た、BALB/cバックグラウンドのPI3Kノックアウトマウスにおいても、L.major感染時にTh1反応が誘導されて虫体を排除できる。この原因を精査したところ、樹状細胞に作用してIL-12の生産を誘導するシグナル(例えばTLRを介したシグナル)によって樹状細胞内のPI3Kの活性は上昇するが、活性化されたPI3KがIL-12生産を抑制すること、PI3Kの活性を阻害するとより多くのIL-12が生産される事が明らかになった。さらに、IL-12の発現抑制が確かにPI3Kの産物であるフォスファチジルイノシトール3リン酸によるものであることを確認するために、PI3Kの逆反応を触媒するPtenの機能を検討した。Ptenを単球ならびに樹状細胞系で欠損するマウスより樹状細胞を調整してIL-12の生産を検討したところ、Ptenを欠損する場合にはPI3K欠損とは逆にIL-12の生産が抑制されることが明らかになった。また、IL-12の発現調節が遺伝子発現レベルで行われることを確認するために、IL-12p40プロモーターを用いた転写制御のアッセイ系を確立して検討した。その結果、PI3Kの阻害が確かにIL-12の発現を転写レベルで増強することが確認された。これらの事実は、樹状細胞におけるPI3Kの活性が確かにIL-12の発現を調節することを示す。今後、PI3K活性を調節することによって人為的にTh1/Th2反応の制御ができる可能性が示唆される。
|
Research Products
(3 results)