2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14021114
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩渕 和久 順天堂大学, 医学部, 講師 (10184897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和田 明彦 順天堂大学, 医学部, 講師 (80233295)
小林 俊秀 理化学研究所, フロンティア研究システム, リーダー (60162004)
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Keywords | 好中球 / ラクトシルセラミド / グリコシグナリングドメイン / 貪食 / 非定型抗酸菌 / 食胞形成 / マイクロドメイン / スフィンゴ糖脂質 |
Research Abstract |
ラクトシルセラミド(LacCer, CDw17)は、好中球の成熟に伴い細胞膜表面に発現する分化抗原である。LacCerは細胞膜に約10%が局在しているが、大半は顆粒膜に存在している。これまでに、LacCerが細菌と選択的に結合することや、好中球の活性酸素産生を引き起こすことが報告されていることから、LacCerが好中球の貪食や活性酸素の産生に関与していると考えられている。しかしながら、菌体のどの物質と結合するかを含めて、LacCerを介した菌体の認識機構の詳細についてはいまだに良く分かっていない。そこで、本研究では、食細胞の食胞形成過程が異なることが分かっているザイモサンと非定型抗酸菌に着目して、LacCerに富むGSDに対する菌体のリガンドが何であるかについて、ザイモサンと非定型抗酸菌を材料として検討することと、顆粒に局在するLacCerが好中球の食胞形成過程にどのようにコミットしているかをリアルタイムに観察することで、自然免疫において重要な役割を果たしている好中球の食胞形成におけるLacCerの役割を明らかにすることを目的としている。 本年度は、まず好中球の貪食過程におけるLacCerのリピッドラフトの動きをリアルタイム解析するために、共焦点レーザー顕微鏡を用いて条件検討を行った。その過程において、非定型抗酸菌であるMycobacterium avium complex(MAC)をオプソニン化せずに貪食させた場合、細胞膜上のLacCerが非常に大きなクラスターを形成すると共に、MACは細胞膜のLacCerを結合させたまま、細胞内に進入し、さらにほとんどの顆粒由来のLacCerがMACに集中することが分かった。一方、オプソニン化していない大腸菌及びザイモサンを貪食させた場合、大腸菌とザイモサンの周囲に細胞膜と顆粒のLacCerの一部が集まったが、MACの様に大きなクラスターを形成して集中することはなかった。これらの結果は、非定型抗酸菌と大腸菌やザイモサンではLacCerのリピッドラフトの貪食過程への関与が全く異なっており、非定型抗酸菌は強くLacCerのリピッドラフトを菌に集中させることを示すものである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 岩渕和久: "グリコシグナルドメインによる情報伝達と細胞機能発現"蛋白質・核酸・酵素. 47. 357-364 (2002)
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[Publications] Kazuhisa Iwabuchi, et al.: "Lactosylceramide-enriched glycosphingolipid signaling domain mediates superoxide generation from human neutrophils"Blood. 100. 1545-1464 (2002)
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[Publications] Akihiko Ohwada, et al.: "VEGF regulates the proliferation of acid-exposed alveolar lining epithelial cells"Thorax. (印刷中).