2002 Fiscal Year Annual Research Report
インターネットが児童・生徒の社会的適応および精神的健康に与える影響
Project/Area Number |
14022218
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
坂元 章 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (00205759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 佳苗 筑波大学, 図書館情報学系, 専任講師 (60334570)
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Keywords | インターネット / 社会的適応 / 精神的健康 / 初等教育 / 因果関係 / 調査 / パネル研究 / 小学生 |
Research Abstract |
本研究は、小学生に対して、2波のパネル研究を実施し、そのデータを因果分析することによって、インターネットの使用が社会的不適応につながるような考えや行動を増加させるかどうかについて検討した。とくに攻撃性と非現実感を取り上げた。さらに、インターネットの使用が精神的健康を悪化させるかどうかについても検討した。とくに孤独感と抑うつ感を取り上げた。 東京都の小学生421名(男子222名、女子197名、不明2名)に対して、2002年10月と2003年2月の2回にわたって調査を行い、電子メール使用やウェブ閲覧など、さまざまなインターネット使用や、攻撃性、非現実感、孤独感、抑うつ感などを測定した。 そのデータに対して、交差遅れ効果モデル分析を行ったところ、(1)電子メール使用やウェブ閲覧によって、攻撃性の情動的側面である「短気」と、行動的側面である「言語的攻撃」が高まる、(2)電子掲示板の使用によって、攻撃性の認知的側面である「敵意」を高まる、(3)チャット以外のツールの使用によって、非現実感の一部である「現実の人間関係への違和感」が高まる、(4)電子メール、電子掲示板、チャット、オンラインゲームの使用によって、抑うつの感情的症状が高まる、(5)ウェブの作成によって孤独感が低まる、などの結果が得られた。 このように、インターネットの使用によって、攻撃性の各側面や、非現実感、抑うつ感などが高まることが示唆された。これは、インターネット使用の悪影響の存在を意味しており、初等教育におけるインターネット導入を進める上で、こうした悪影響問題に注意を向けていく必要性を含意するものである。
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