2002 Fiscal Year Annual Research Report
大学との連携による理数系中等教育の振興―イギリスの事例研究
Project/Area Number |
14022263
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Research Institution | National Institute of Multimedia Education |
Principal Investigator |
瀬田 智惠子 メディア教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (70280542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 雅巳 メディア教育開発センター, 研究開発部, 助教授 (80221670)
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Keywords | イギリス / スコットランド / 高等教育連携プログラム / リンク・プログラム / ハイランド&アイランド大学 / アバーティ大学ダンディー校 / アルスター大学 |
Research Abstract |
わが国同様児童・生徒の理数系離れが進行しているイギリスにおいて、中等教育段階の理数系教育の振興を目的として行われている、高等教育機関との連携プログラムに関して事例研究を行ない、わが国における理数系中等教育の充実方策の手がかりを得ることを目的にした。 スコットランドの大学及び上級専門カレッジ、及び北アイルランドの大學が、それぞれ異なる意図の下に提供している、3事例について文献調査、訪問調査を行った。訪問調査では、教員(中等及び高等教育)及び行政関係者へのインタビュー調査、生徒へのアンケート調査、授業の傍聴・観察等を行った。(北アイルランドはヒアリングのみ) 事例は、高等教育が持つ人的、物的条件等は中等教育に不足している領域をカバーする上で重要な資源となり得ること、またスタッフ・ディベロプメントとしても有効なこと、を示唆している。我が国でも初中教育の補完・充実のための高等教育の役割についても検討する必要がある。その際に、留意すべき点として、3事例は以下のことを示唆している。 (1)「競合」ではない「共存」:中学校に既設の科目を大学等で提供するのは、相手校「競合」にもなり得る。中学校に無い教科名の中で目当ての知識・スキルを学習できるようなカリキュラム作りなど、「競合」ではなく「共存」への配慮が必要である。例:IT、数学 (2)プログラムの単位化:「理工系科目への関心の喚起」だけではなく、プログラムの継続性、人的・物的資源を確保するには、単位認定の対象となるプログラムの提供が望ましい。 (3)財政基盤:教員有志のボランタリーなプログラムは、長期的な財源の確保が難しい。プログラムの単位化は教育行政からの継続的な助成を得るためのカギともなる。 (4)運営組織:プログラムへのニーズや妥当性についての協議、教育効果の確認と周知等を担保するためには、学内・外の関係者による運営組織は不可欠である。
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