2002 Fiscal Year Annual Research Report
社会的・経済的事実としての商標の研究―江戸期・明治期を中心として―
Project/Area Number |
14023211
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
佐渡山 安彦 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50294301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 元成 和歌山大学, システム工学部, 助手 (40304183)
橋爪 紳也 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (24402923)
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Keywords | 商標 / 近代デザイン / シンボル / ロゴ / 造形意識 / 明治期 / 江戸期 |
Research Abstract |
本研究は、明治期に登録された商標を、形態面と機能面から分類し、江戸の商人によって使用された屋号や商品に付加された標識と比較しすることによって、近代デザインの受容過程にある日本人の造形感覚を明らかにすることを目的としている。 これまで国立科学博物館が所蔵している商標公報資料を整理し、現存する商標に関する資料および先行研究の調査をおこなった。さらに先行研究をふまえて、商標の造形的変遷とその分類指標を独自に作成するため、商標登録制度が開始時から現在に至るまでの形態の変遷を明らかにした。 その方法としては(1)1885年から1999年までに登録された商標から5年ごと各100サンプルを無作為抽出し、(2)抽出した商標(合計2300点)から、造形デザインの特徴を分類するための指標を作成し、(3)集計したデータを加重移動平均法によって時系列分析した。 その結果(1)商標構成形式による分析(「単一構成商標」と「複数構成商標」の比率の推移等)(2)使用された「シンボル」の図像の抽象化推移(3)「欧米風」「和風」「アジア風」等の地域イメージの出現推移(4)「家紋」「文字記号」「既成記号」「幾何図形」等の抽象イメージの出現推移(5)使用された「ロゴ」の欧文と和文の推移(6)「ロゴ」における表記形式の推移、等において各時代・カテゴリ別のデータを得ることができた。本年度はこれらの結果を、経済的要因、文化的要因から分析し、さらに西洋美術(デザイン)の影響についても検討を加えた。 これらの研究から、商標の造形性を研究するために有効なカテゴリ分類を得ることができ、さらにその変遷を明らかにすることで、明治期の商標の造形的な特徴を明らかにすることができた。また現在、これらの知見をふまえ、明治期の商標デザインの産業別の検討、江戸期の家紋・看板などの機能および造形意識との比較をおこなっている。
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