2004 Fiscal Year Annual Research Report
文化財における複合素材の保存修復のための材料技法の開発に関する調査研究
Project/Area Number |
14023243
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
加藤 寛 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 修復技術部, 部長 (70161114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野邊 渉 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 修復技術部・修復材料研究室, 室長 (00169749)
大塚 英明 日本大学, 文理学部, 教授 (10102633)
青木 繁夫 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (60088797)
早川 典子 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 修復技術部・修復材料研究室, 研究員 (20311160)
森井 順之 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 修復技術部・修復材料研究室, 研究員 (30342942)
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Keywords | 美術史 / 国際協力 / 複合素材 / 工芸史 / 産業史 |
Research Abstract |
☆研究の概要 1,トヨタコレクションの保存状態の調査並びに写真撮影 平成16年度は、トヨタコレクションの時計、天文、測量、銃大砲およびその史料を対象に調査研究を行った。(4月30日、8月23日〜25日)昨年度までの調査は、作品を中心に行っていたが、今年度はそれら作品に関連あるいは付随する史料に範囲を拡大して行った。文献史料としては砲術法、測量法、地図、絵画作品、さらに来年度開催のトヨタコレクション展のための事前調査も併せて開催した。また、調査とともに従来より実施している作品保存のための記録作成と写真撮影(8月23日〜25日、9月13日〜14日)を行い調査台帳に追加した。 2,複合素材の調査 江戸時代の蒔絵作品を対象(蔦の細道蒔絵文台硯箱、片輪車蒔絵螺鈿棗など)にして、蒔絵表面の漆の劣化について調査を行った。調査先は、奈良国立博物館、東京文化財研究所で、対象作品の蛍光X線による蒔絵粉の金の含有率の分析を行った。この分析の後、蒔絵手板を作成しフェードメーターによる劣化試験を行い、漆層の劣化による金属表面の色と艶の変化を照度計および色差計で測定した。その結果、従来、目視で蒔絵作品を判断すると、金と銀の合金である青金の色合いに見られたものが、純金に近い状態であり表面の漆層の劣化によってより鮮やかに見えることが判明した。また、デジタルX線透過撮影および蛍光X線分析から、近世初期の作品の中に高蒔絵の盛り上げに金属片(鉛)を使用した例が見つかった。通常の高蒔絵は、漆下地もしくは漆で文様を盛り上げることが多い。蒔絵は、表面に漆で文様を描き、金銀の粉を蒔いて仕上げる。貴金属の内側に鉛など種類の異なる金属を使用した場合に、蒔絵内部に微電流が起こり損傷への影響となることが予測された。
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Research Products
(6 results)