2002 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本と中国・東南アジア・琉球で出土・伝世した工芸品に関する製作技法の比較研究
Project/Area Number |
14023246
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Research Institution | Kyoto National Museum |
Principal Investigator |
久保 智康 独立行政法人国立博物館, 京都国立博物館・学芸課・研究員(工芸室長) (50234480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永島 明子 独立行政法人国立博物館, 京都国立博物館・学芸課, 研究員 (90321554)
山川 暁 独立行政法人国立博物館, 京都国立博物館・学芸課, 研究員 (70250016)
尾野 善裕 独立行政法人国立博物館, 京都国立博物館・学芸課, 研究員(主任研究官) (40280531)
菊池 誠一 昭和女子大学, 文学部, 専任講師 (40327953)
淺湫 毅 独立行政法人国立博物館, 京都国立博物館・学芸課, 研究員(主任研究官) (10249914)
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Keywords | 銅鏡 / 鐔 / 明清工芸 / 琉球染織 / 琉球漆芸 / 朝鮮陶磁 / 製作技法 / 意匠 |
Research Abstract |
平成14年12月に、代表者久保ほか5名がベトナムのホーチミン、ホイアン、フエの美術館・博物館・古美術店で工芸品調査を行った。日本から舶載された銅鏡、鐔などの金工品が確認され、これをモデルに現地で製作したものもあった。陶磁では伊万里焼などの日本陶磁がいまだ市中に伝来しており、一方中国製と見なされてきた青花磁器の一部がベトナムで製作された可能性なども把握できた。漆工品については、中国の影響を強く受けながらも螺鈿などベトナム独自の技法が発達・定着した状況が確認された。また各分野工芸の製作現場も訪れ、技法調査を行った。 15年3月に、久保は中国の蘇州・南京・揚州・鎮江・上海の各博物館を訪れ、とくに明・清代の金工品を調査した。当該期の彫金技法・意匠表現が日本のものと明確に識別され、琉球の装身具の技法・意匠とほぼ一致することが確認できた。また清代の多宝閣の一つに、日本製飾金具を打つ事例が発見され、部品レベルの日中の相互乗り入れがあったことをうかがわせた。 同月に分担者山川は、奄美大島・沖縄本島・石垣島・小浜島の染織について製作工程と作品調査を行い、日・琉の間に色使いだけでなく、糸使い、製織組織(機織構造)などに違いがあるのではないかとの推論に至るなど、織機、染料、染色技術に関し、今後の日本の同種技術の調査を行う上での有効な比較対象データを得ることができた。分担者永島も沖縄県を訪れ、浦添市、今帰仁村、那覇市で古琉球時代の漆工品を見学し、日本・中国作品との技法・意匠の差異について多くの情報を得た。また浦添市美術館で開催された琉球漆芸研究会議に出席し、漆龕の製作技法、槍金・沈金等に関する報告を聞き討論に参加して、琉球漆芸の最新の研究成果を共有できた。 同じく分担者尾野は、朝鮮陶磁の技術を導入して始まった近世日本の窯業生産を考える上で極めて有益な資料である京都国立博物館所蔵の約1000点に及ぶ浅川伯教蒐集朝鮮古窯跡出土陶片について全点のデジタル写真撮影を行い、検索等の作業がきわめて容易になるなど、今後の東アジア製陶技術の比較研究に有益な基礎資料を構築することができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 久保智康: "尾崎神社の飾金具〜旧金沢城東照宮の荘厳〜"金沢城研究. 1号. 1-6 (2003)
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[Publications] 久保智康: "二條城二の丸御殿の花熨斗形釘隠"国華. 1301号(未定). (2004)
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[Publications] 久保智康: "飾金具(日本の美術437)"至文堂. 98 (2002)