2002 Fiscal Year Annual Research Report
p27^<Kip1>新規分子種の同定とがん抑制因子としての機能解明
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14026038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平野 勝也 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80291516)
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Keywords | サイクリン依存性キナーゼ阻害因子 / 核移行シグナル / アイソフォーム / 細胞周期 / 転写 / 遺伝子 / プロモーター / 接触抑制 |
Research Abstract |
細胞間接触により増殖を停止したブタ大動脈由来培養内皮細胞からサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27^<Kip1>の新たなアイソフォーム(p27^<Kip1R>)をクローニングした。p27^<Kip1R>のがん抑制因子としての機能を、細胞および個体レベルで明らかにすることを目的として、核移行、細胞周期制御及び分解抵抗性に関わる構造を明らかにした。また、自然高血圧発症ラット(SHR)と正常ラットの大動脈における2つのアイソフォームの発現解析から、組織増殖性とアイソフォーム発現の相関を、個体レベルで明らかにした。 1.p27^<Kip1R>は、領域153-168が有意な核移行に必要な配列であることが明らかになった。この領域には塩基性アミノ酸は一残基(K168)しか含まれない。不足する塩基性アミノ酸に代わり疎水性アミノ酸が機能を果たすという点で非典型的な2分裂型核移行シグナルであることを明らかにした。 2.GFP発現系を用いて細胞増殖に及ぼす影響を解析し、p27^<Kip1R>の増殖抑制作用を明らかにした。増殖抑制には、p27^<Kip1>と共通のN末端領域が必要である。 3.6週齢SHRの大動脈にはp27^<Kip1>が、正常ラットではp27^<Kip1R>が、主なアイソフォームとして発現する。週齢を重ねると、SHRにおいてもp27^<Kip1R>発現が優位になる。正常ラット大動脈を培養するとp27^<Kip1R>が消失し、p27^<Kip1>が主に発現する。個体レベルで、組織増殖性とp27^<Kip1R>発現に逆相関が示唆された。 4.Kip1遺伝子全長を決定した。p27^<Kip1R>特異的コード領域がエキソン3に含まれることを明らかにした。プロモーター活性が、細胞間接触により亢進することを明らかにした。この活性増加には、翻訳開始点より上流2000-2350bpの領域が必要であった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hirano K, Zeng Y, Hirano M, Nishismura J, Kanaide H: "Sequence requirement for nuclear localization and growth inhibition of p27^<Kip1R>, a degradation-resistant isoform of p27^<Kip1>"J Cell Biochem. (in press).
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[Publications] Nakayama T, Hirano K, Shintani Y, Nishimura J, Nakatsuka A, Kuga H, Takahashi S, Kanaide H: "Unproductive cleavage and inactivation of protease-activated receptor-1 by trypsin in vascular endotheial cells"Br J Pharmacol. 138. 121-130 (2003)
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[Publications] Ihara E, Hirano K, Hirano M, Nishimura J, Nawata H, Kanaide H: "The mechanism of down-regulation of L-type Ca^<2+> channel in the proliferating smooth muscle cells of rat aorta"J Cell Biochem. 87. 242-251 (2002)