2002 Fiscal Year Annual Research Report
11番染色体(11q13)上のフェリチンH鎖遺伝子変異を伴う癌多発家系の解析
Project/Area Number |
14026042
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 稔 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60291556)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (20244345)
|
Keywords | 癌多発家系 / フェリチンH鎖 / iron responsive element / フリーラジカル / 8-OHdG |
Research Abstract |
我々は家族内に癌の集積を見た多発癌家系の検討から新規に見出した鉄貯蔵蛋白フェリチンH鎖のiron responsive element (IRE)領域における点突然変異(A49T)が、遺伝的な発癌に関わるか否かについて検討した。これまで癌の集積が認められる数家系を対象に検討を加えた結果、同胞2名以上に癌を発症し同様の遺伝子異常(常染色体優性遺伝形式で)を有する2家系を見出した。これら患者の癌組織では癌細胞の核内に、細胞内に蓄積した遊離鉄を基に発生するフリーラジカルによりDNA変異源性塩基となる8-hydroxy-deoxyguanosine(8-OHdG)が蓄積していることが免疫組織学的に証明された。 遺伝的な発癌に関する異常としては、これまで欧米を中心にAPCやp53など癌抑制遺伝子の変異が多数明らかにされてきたが、まだ実際には多くの原因不明の癌集積家系がある。国内では、九州大学の笹月らが家族性胃がんの連鎖解析を行い、その関連遺伝子が11q13に存在することを報告しており(文部科学省特定領域研究「がん」研究報告集録、平成12年度)、当該研究で検討するフェリチンH鎖遺伝子と同locusであることは興味深く、関連性がある可能性がある。鉄過剰と発癌という観点からは、欧米で最も高頻度の常染色体劣勢遺伝性疾患である遺伝性ヘモクロマトーシスにおいては、肝細胞癌、肺癌、胃癌が高頻度に発症することが報告されている。 我々が新規に発見したフェリチンH鎖の変異(A49T)は遺伝的な発癌に関与する異常の1つである可能性があり、遺伝性高発癌集団の原因の一端を解明できる可能性がある。鉄過剰がその促進因子となっているのであれば、除鉄治療などで発癌予防法の開発にも繋がる研究へと発展性もある。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Kato J, Kobune M, Kohgo Y, et al.: "Ratio of transferrin (Tf) to Tf-receptor complex i circulation differs depending on Tf iron saturation"Clin Chem.. 48. 181-183 (2002)
-
[Publications] Kato J, Niitsu Y.: "Recent advance in molecular iron metabolism : Translational disoders of ferritin"Int J Hematol. 76:208-212. (2002)
-
[Publications] Miyazaki E, Kato J, et al.: "Denatured H-ferritin subunit is a major constituent of haemosiderin in the liver of patients with iron overload"Gut.. 50. 413-419 (2002)
-
[Publications] Takahashi M, Kato J, et al.: "E1B-55K deleted adenovirus expressing E1A-13S by AFP-enhancer/promoter is capable of highly specific replication in AFP-producing hepatocellular carcinoma and eradication of established tumor"Mol Ther.. 5. 627-634 (2002)