2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14028021
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山梨 裕司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40202387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保田 朋波流 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (40334429)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 造血細胞 / チロシンキナーゼ / EBウイルス |
Research Abstract |
チロシンキナーゼ(PTK)は多細胞生物の細胞増殖制御に必須の分子であり、ヒト慢性骨髄性白血病(CML)等の多様な白血病や腫瘍の発症に深く関与している。申請者らはPTK関連白血病及び腫瘍由来の細胞中で顕著にチロシンリン酸化される蛋白質Dokを同定し、それが細胞増殖とErkに抑制性のシグナル分子であることを発見した。本特定領域研究ではPTKが素因とされる白血病や腫瘍を対象とし、チロシンリン酸化蛋白質の増殖応答制御における機能を知る目的で、まずDokファミリー蛋白質の造血器腫瘍における役割を検討している。昨年度までに、Dok、Dok-2二重欠損マウスが顆粒球・単球系幹細胞の増加を伴うCML様の病態を呈し、その欠損がCMLモデルマウスに早期の致死性を誘導することを明らかにしていた。そこで、本年度においては骨髄系細胞の増殖と分化に重要なサイトカインに対する応答を細胞レベルで検討し、Dok、Dok-2二重欠損マウス由来の細胞に増殖応答の亢進とアポトーシスの低下を認めた。その際、細胞内のErk、Aktの活性化も亢進したことから、Dok、Dok-2はサイトカイン刺激時の増殖、生存シグナルの適切な抑制と骨髄系細胞の恒常性の維持に必須の分子であることが判明した。一方、CMLモデルマウスにDok、Dok-2欠損を導入した実験では、未熟T細胞リンパ腫や腸管リンパ腫が高頻度に発症したことから、両蛋白質がCML様病態の増悪化を抑制していることが判明した。実際、CMLの急性転化例に由来する骨髄系細胞株の半数にDokもしくはDok-2の著減を認めている。 他方、その発癌機構とチロシンリン酸化の関係を検討していたEBウイルス(EBV)に関しては、CD40L遺伝子に変異をもつXHIM(X-linked hyper IgM syndrome)患者由来のB細胞がEBVによって殆どトランスフォーメーションされないことを発見した。この予想外の知見を糸口に、EBV感染が宿主B細胞上にCD40Lを異所性に誘導し、さらに、そのCD40Lの機能がEBV感染によるB細胞のトランスフォーメーションに極めて重要であることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ken-Ichi Imadome: "CD40 ligand is a critical effector of Epstein-Barr virus in host cell survival and transformation."Proc.Natl.Acad.Sci.USA.. 100. 7836-7840 (2003)
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[Publications] Yasushi Kawaguchi: "Conserved protein kinases encoded by herpesviruses and a cellular protein kinase Cdc2 target the same phosphorylation site in eukaryotic elongation factor 1δ."J.Virology. 77. 2359-2368 (2003)
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[Publications] Masakazu Terauchi: "Placental extravillous cytotrophoblasts persistently express class I MHC molecules after human cytomegalovirus infection."J.Virology. 77. 8187-8195 (2003)