2002 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍活性を高めるエフェクター細胞および樹状細胞の選択的増幅法の開発
Project/Area Number |
14030017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長棟 輝行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20124373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 正浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50345097)
新海 政重 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70262889)
上田 宏 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (60232758)
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Keywords | 樹状細胞 / 抗体 / 受容体 / 遺伝子治療 / がん / 選択的増幅 / 細胞障害性T細胞 |
Research Abstract |
本研究では、生体内で免疫原性のない小分子に応答して増殖シグナルを伝達するキメラ受容体を作製することを目指した。小分子としてフルオレセイン(Fl)を選び、抗Fl抗体の可変領域一本鎖抗体(ScFv)を合成ヒト抗体cDNA libraryからphage display法で得た。続いて、エリスロポエチン受容体(EpoR)のEpo結合ドメインを抗Fl抗体のScFvで置換し、その細胞内ドメインをIL-6受容体β鎖であるgp130、IL-2Rβ鎖、IL-2Rγ鎖、c-kitで置換したキメラ受容体(それぞれScFv-gp130,ScFv-IL-2Rβ、ScFv-IL-2Rγ、ScFv-kit)発現レトロウィルスベクターを作製した。目的遺伝子のモデルとして緑色蛍光タンパク質EGFPを選び、キメラ受容体の下流に内部リボソーム結合部位(IRES)配列を介して連結した。これらのベクターをIL-3依存性血球細胞株であるBa/F3細胞に導入し、Fl標識BSA(BSA-Fl)を添加して培養したところ、細胞増殖が生じたことから、作製したキメラ受容体がFlを認識して増殖シグナルを伝達しうることが示された。続いて、回文配列を持つオリゴDNAの5'末端をFlラベルしたものをアニーリングさせることによって、Fl dimerを作製した。オリゴDNAリンカー長は、EpoRのD2ドメインのN末端間距離が約35Åであることを指標に、8mer〜14mer(30〜53Å)とした。BsA-Fl選択後の細胞を用いて、これらのFl dimerを添加したところ、いずれのキメラ受容体も細胞増殖がみられ、最適なリンカー長は12〜13mer、最適濃度は約1μMであることが分かった。また、ScFv-gp130に関しては、選択前の細胞にFl dimer(12merおよび13mer)を添加して直接選択を試みたところ、Fl dimer依存的な増殖が見られ、EGFP陽性細胞率はほぼ100%となった。以上の結果から、ScFv-受容体キメラとFl dimerによる人工的情報伝達系の有効性と遺伝子導入細胞の選択的増幅法としての応用可能性が示された。今後は樹状細胞や細胞傷害性T細胞での選択的増幅の実現可能性について検証する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kawahara, M. et al.: "Selection of highly productive mammalian cells based on an inducible growth advantage using an antibody/receptor chimera"J. Biosci. Bioeng.. 93. 399-404 (2002)
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[Publications] Kawahara, M. et al.: "Bypassing antibiotic selection : positive screening of genetically modified cells with an antigen-dependent proliferation switch"Nucl. Acids Res.. (in press). (2003)
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[Publications] Kawahara, M. et al.: "ACS Symposium Series 830 (Biological Systems Engineering)"Oxford University Press. 13 (2002)