2002 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来細胞分化誘導因子の作用機構解明とG_1早期選択的抗腫瘍薬開発への応用
Project/Area Number |
14030065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹栗 俊之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30261209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 富美 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50274436)
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Keywords | 増殖抑制 / 細胞周期 / サイクリンD1 / がん |
Research Abstract |
Differentiation-inducing factor (DIF)は細胞性粘菌Dictyosteliumが分泌する化学物質で、粘菌の分化を誘導する物質として単離され構造が決定されたが、最近の研究から哺乳類の腫瘍細胞や血管平滑筋細胞にも分化誘導・増殖抑制作用を持つことが明らかとなっている。我々はDIFの増殖抑制効果の作用発現機構について検討を行い以下のことが明らかとなった。 1 DIF-1とそのアナログであるDIF-3はともに濃度依存性にHeLa細胞の増殖を阻害したが、DIF-3の方がDIF-1より効果が強かった。また、この増殖阻害はG_0/G_1期拘束によって引き起こされていた。 2.DIF-3はサイクリンD1のタンパク質レベルでの発現およびmRNAの発現を減少させたが、タンパク質レベルでの分解が先行していた。また、D2およびD3タイプのサイクリンもDIF-3により減少した。 3.サイクリンD1を強制発現させるとDIF-3のG_0/G_1期拘束は解除された。 4.DIF-3はGSK-3βを活性化し、この酵素の核への移行を促進した。 5.GSK-3βの阻害剤であるLiイオンにより、DIF-3のサイクリンD1分解促進および細胞増殖阻害は抑制された。 以上の結果から、DIF-3は濃度依存性にHeLa細胞の増殖を抑制し、これはサイクリンD1の分解促進による細胞周期拘束のためであると思われる。また、DIF-3はGSK-3βを活性化することによりこの作用を発揮していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)