2002 Fiscal Year Annual Research Report
北欧極北民族における脂質関連がんの発生と環境・宿主要因の解明
Project/Area Number |
14031203
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
妹尾 春樹 秋田大学, 医学部, 教授 (90171355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 充 秋田大学, 医学部, 助教授 (60226008)
江口 英孝 放射線影響研究所, 疫学部, 研究員 (00260232)
上島 弘嗣 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70144483)
佐藤 岳哉 秋田大学, 医学部, 助手 (10312696)
今井 克幸 秋田大学, 医学部, 助手 (80006741)
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Keywords | サーミ人 / 脂質関連がん / 脂質 / 遺伝要因 / ノルウエー人 / 大腸がん / 肺がん / 遺伝子 |
Research Abstract |
現地における調査および詳細なノルウエー研究者との打ち合わせによってサーミ人は同じ地域に住むノルウエー人よりも多量の脂肪を摂取しているにもかかわらず、食道と胃のがんが多く、大腸、乳腺、前立腺、肺のがんが少ないことが明かになった。サーメ人男性ではエネルギーは12624±4036kJ(同じ地域に住むノルウエー人では10501±2456kJ、以下括弧のなかは同じ地域に住むノルウエー人を示す)、総脂質は125.4±60.6g(91.2±31.0g)、タンパク質は120.6±43.2g(95.1±19.6g)、炭水化物は342±98g(317±75g)摂取していた。女性ではエネルギーは7983±2175kJ(7583±2454kJ)、総脂質は69.5±29.2g(67.2±28.3g)、タンパク質は78.6±22.5g(69.4±21.2g)、炭水化物は240±67g(229±69g)摂取していた。サーメ人に関してはすでにノルウエーがん登録資料あるいはビジェルケ教授(ベルゲン大学)によってがんや心臓血管疾患の疫学的調査(ヤヌスプロジェクト)がかつておこなわれ、それらの研究の際に得られた血液サンプルやデータを利用可能であることも確認した。血清サンプルはすでにノルウエーがん登録資料に保存されており、それらは使用可能である。すなわちこれらの試料やデータはS.トレットリ教授(ノルウエーがん登録資料)を通じて入手可能となった。ノルウエーにおいて、この報告書作成時点で最終的な倫理審査を通過して許可が得られた。プロジェクトの内容を新聞に掲載して異義申し立てはなかった。輸送の準備が整いしだい、トレットリ教授自身が日本に運ぶこととなった。またE.ルンド教授(トロムソ大学)とも再度詳細な研究うちあわせをおこない、すでにサーメ人に関しては疫学的調査は進行中であり今後遺伝子の解析に重点を置いて研究を展開することとなった。厳しい自然に適応した独特な生活様式を持つサーメ人を調査し、同じ地域に住むノルウエー人よりも多量の脂肪を摂取しているにもかかわらず、食道と胃のがんが多く、大腸、乳腺、前立腺、肺のがんが少ないことを明らかにした。がんの発生や種類と食習慣と宿主(特に遺伝要因)因子を疫学的に解析すれば、急速に増加しつつある脂質関連がんの原因解明と予防法樹立の一助になると思われる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Senoo, H.: "Decreased capacity for vitamin A storage in hepatic stellate cells in arctic animals"Comp Hepatol. (in press). (2003)
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[Publications] Ueshima, H.: "Differences in cardiovascular disease risk factors between Japanese in Japan and Japanese-Americans in Hawaii"J Hum Hypertens. (in press). (2003)
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[Publications] Matsuyama, S.: "Estrogen receptor beta is expressed in human stomach adenocarcinoma"J Cancer Res Clin Oncol. 128. 319-324 (2002)
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[Publications] 妹尾春樹: "先端研究最前線、秋田から北極圏へ-がん治療に関しての国際共同研究-(前編)"文部科学教育通信. 6月24日号. 28-29 (2002)
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[Publications] 妹尾春樹: "先端研究最前線、秋田から北極圏へ-がん治療に関しての国際共同研究-(後編)"文部科学教育通信. 7月8日号. 28-29 (2002)
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[Publications] 妹尾春樹: "ビタミンA研究の新たな展開-実験室から北極圏へ-"細胞. 34. 86-87 (2002)
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[Publications] 妹尾春樹: "医学大辞典"医学書院(in press). (2003)