2002 Fiscal Year Annual Research Report
「DNA複製」と「異常DNA構造の認識・修復」の共役機構に関する研究
Project/Area Number |
14033204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 周右 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00216970)
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Keywords | DNA複製 / DNA修復 / RecQファミリーDNAヘリカーゼ / ロスムンド・トムソン症候群 / DNA二本鎖切断 / 紫外線感受性 / DNA組換え / 細胞周期チェックポイント |
Research Abstract |
DNA複製の過程ではDNAが非常に脆弱な状態におかれるため、DNA複製の順調な進行が鋳型DNA上の傷害などの要因により妨げられたとき、DNAが重篤な損傷を受ける危険性が高くなる。このため、細胞にはDNA複製を安定して遂行するための極めて高度な調節機構が存在する。近年、酵母を用いた解析などにより、RecQファミリーに属するDNAヘリカーゼがこの調節機構に中心的な役割を果たしている可能性が示されている。高等真核生物においては5種類のRecQファミリーDNAへリカーゼが同定されているが、このうちRecQL4はN末に出芽酵母Sld2タンパク質と相同なアミノ酸配列を有しており、DNAポリメラーゼεとの相互作用を介したDNA複製との連携が予想された。そこで、本研究ではRecQL4に注目し、Xenopus卵抽出液を用いた解析を進めた。 Xenopus RECQL4 cDNAをクローニングし、このcDNA産物に対する抗体を作製した。まずはじめに、DNA複製が進行する過程でのRecQL4の挙動を調べたところ、DNA複製に応じたクロマチン画分への顕著な移行は認められなかった。また、この抗体を用いてRecQL4を除去した卵抽出液を調製したが、DNA複製活性に変化は観察されなかった。これらより、RecQL4はDNA複製の開始及び進行に関与してないことが示唆された。次に、DNA二本鎖切断を誘導した条件下におけるRecQL4のクロマチンへの結合を検討したところ、RecQL4のクロマチンへの結合が確認された。さらに、UV照射やアフィディコリン添加によりDNA複製を抑制した条件においてもクロマチンへの結合が観察された。これらのことから、DNA二本鎖切断や複製フォーク進行の阻害に応じてRecQL4がクロマチンに結合し、細胞周期チェックポイントやDNA修復の過程において何らかの役割を担っていると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Wang, W., Seki, M., Narita, Y., Nakagawa, T., Yoshimura, A., Otsuki, M., Kawabe, Yi, Tada, S., Yagi, H., Ishii, Y., Enomoto, T.: "Functional relation among RecQ family helicases, RecQL1, RecQL5, and BLM in cell growth and SCE formation"Molecular and Cellular Biology. (印刷中). (2003)
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[Publications] Kobayashi, T., Tada, S., Tsuyama, T., Murofushi, H., Seki, M., Enomoto, T.: "Focus-formation of replication protein A, activation of checkpoint system and DNA repair synthesis induced by DNA double strand breaks in Xenopus egg extract"Journal of Cell Science. 115. 3159-3169 (2002)
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[Publications] Kobayashi.T., Tada, S., Tsuyama, T., Murofushi, H., Seki.M., Enomoto, T.: "Effect of topoisomerase inhibitors on the formation of replication protein A foci in nuclei reconstituted in Xenopus egg extract"Journal of Health Science. 48. 296-301 (2002)
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[Publications] Hodgson, B., Li, A., Tada, S., Blow, J.J.: "Gemimn becomes activated as an inhibitor of Cdtl/RLF-B following nuclear import"Current Biology. 12. 678-683 (2002)